胃もたれやゲップが多いと、病気なのではないかと不安になる方もいるのではないでしょうか。一時的な症状であれば生活習慣が原因になっていることが多いですが、症状が長く続く場合は何らかの病気の可能性も考えられます。本記事では胃もたれやゲップが続く原因や対処法を解説します。胃もたれやゲップの症状が出やすい人は、ぜひ参考にしてください。(以下、医師監修による記事です)
目次
1.胃もたれ・ゲップが続く主な原因
胃もたれやゲップが続く原因は、大きく分けると2つのパターンが考えられます。1つは食べ過ぎなどで胃への負担が大きくなっているケース、もう1つは胃の機能が低下して消化が追い付かない状態になっているケースです。
胃もたれやゲップの原因
胃に負担がかかっている | 胃の機能が低下している |
---|---|
●食べ過ぎ ●脂っぽい食事 ●早食い ●食事などで空気をたくさん飲みこんでいる(ゲップ) | ●ストレス ● 病気 ●加齢 |
食べすぎや早食いなどは胃に負担が大きく、一時的に胃もたれが起きたり、ゲップが多くなったりします。また空気を一緒に飲み込みやすくなり、空気が逆流してゲップが多くなることもあります。
詳細な対策は後述しますが、「脂っこい食事を摂った」「いつもよりも食事の量が多かった」など思い当たる節があるときは、こうした食習慣を見直して安静にすることで、自然におさまるケースが多いです。症状が辛いときは市販の胃腸薬を活用するのもよいでしょう。胃腸薬には「消化を助けるもの」や「胃の働きをサポートするもの」などの種類があるので、状況に応じて選ぶようにしてください。
また、ストレスが原因となって自律神経が乱れ、胃酸の量が増えたり、病気が原因で胃に炎症が起きたりすることもあります。加齢によって胃の能力が低下することも、胃もたれの原因の1つです。
こうした胃もたれやゲップの原因に心当たりがない場合や、市販薬を活用しても症状が改善されない場合は、病気による炎症などが関わっている可能性があります。医療機関の受診や専門家への相談を検討してください。
2.胃もたれ・ゲップが続くときの4つの対処法
胃もたれ・ゲップが続く場合、日々の生活の中に原因があることも多いです。ここからは具体的な対処法として、次の4つを紹介します。
- 食べすぎや偏った食生活に気を付ける
- 早食いなどの食事の習慣を見直す
- ストレスを解消する
- 猫背などの普段の姿勢を見直す
食べすぎや偏った食生活に気を付ける
食事の量が多かったり、脂質が多く含まれていたりすると、消化するのに時間がかかります。暴飲暴食は胃もたれの原因になりやすいので、食生活に注意しましょう。
また香辛料を多く使ったものやアルコールなど刺激の強い食事は、胃酸の分泌を促します。過剰な胃酸は胃を守る粘膜の働きを弱めるため、胃もたれなどが続くときは控えるようにしてください。
早食いなどの食事の習慣を見直す
早食いは、食事と一緒に空気を飲み込みやすく、ゲップやおならが出やすくなります。また、食事のときに咀嚼する回数が少ないと消化不良を起こして、胃もたれだけでなく便秘などにもつながります。
早食いが習慣になっている人は、噛む回数の目標を決め、一口の量を減らすよう変えてみましょう。小さいサイズのスプーンやフォークを使用すれば、物理的に一口の量を減らせます。根菜など、咀嚼回数が増えるような、歯応えのある食材を積極的に取り入れてみてください。
ストレスを解消する
ストレスは、粘膜を弱め胃酸の分泌を増やすため、適度に運動したり、趣味の時間を確保したりして、ストレスを溜め込まないようにすることが大切です。意識的に休息を取るようにし、規則正しく生活して自律神経のバランスを整えましょう。
湯船に浸かると身体がほぐれやすくなるだけでなく、リラックスすることにもつながります。シャワーだけで済ませるのではなく、入浴にゆっくり時間を割くよう意識してみてください。
猫背などの普段の姿勢を見直す
前かがみの姿勢や猫背が習慣になっていると、お腹に圧がかかり、胃酸や消化中の食べ物が逆流し、胃もたれなどにつながることがあります。姿勢の悪さは肩こりや腰痛、頭痛などさまざまな症状の原因になるので、長時間同じ姿勢で仕事をする人は、とくに気をつけましょう。

姿勢を改善するためには、正しい座り方や立ち方を知ることが大切です。壁にかかとをつけて頭・背・お尻が壁に触れるか確認してください。腰を突き出さないよう気を付けて、3点が壁に触れる状態が正しい姿勢です。肩甲骨を意識して肩を気持ち後ろに開き、お腹に力を入れて耳から肩、腰、ひざ、くるぶしが一直線で結ばれるよう維持しましょう。
3.胃もたれやゲップが出る場合に考えられる病気とは?
食べすぎなど胃もたれやゲップの原因に思い当たるものがはっきりあるなら、ひとまず安静にして胃腸にやさしい生活を送り、様子を見るとよいでしょう。しかし、胃もたれやゲップが出る理由に心当たりがないときは、次のような病気が原因の可能性も考えられます。
- 逆流性食道炎
- 機能性ディスペプシア
- 胃がん など
以下では胃もたれやゲップが出る際に考えられる病気について、説明します。
逆流性食道炎
逆流性食道炎は、胃液が食道に逆流することで、食道が炎症を起こす病気です。胃もたれやゲップに加え、胸焼けや吐き気、胃痛などの症状も伴います。
逆流性食道炎になる原因はさまざまですが、肥満体型の人(お腹に圧がかかりやすい)、頻繁に刺激の強い食事をする人、喫煙の習慣がある人(喫煙は胃酸の分泌を増やす)などは症状が出やすいです。内服薬で胃酸の分泌を減らしながら、胃を傷めてしまう生活習慣を改善して治療します。
機能性ディスペプシア
胃に痛みや不快感などの症状が出ているにも関わらず、検査をしても炎症が見つからず、はっきりとした原因が分からない場合、機能性ディスペプシアと診断されることもあります。
機能性ディスペプシアは、みぞおち辺りが痛むほか、胃もたれ、ゲップ、吐き気、下痢、食べ始めてすぐにお腹がいっぱいになるなどの症状が生じます。逆流性食道炎と同様、基本的には生活指導と薬物療法を組み合わせて治療にあたります。
胃がん
胃の粘膜にがん細胞ができる胃がんの場合、初期は自覚症状がないケースもあります。病状が進行すると、食べ物の通過を阻害するため胃もたれが起き、空気が逆流しやすくなるのでゲップも出るようになります。その他、みぞおち辺りの痛み、胸焼け、吐き気、食欲不振、体重が減る、お腹が張るなどの症状が出るケースも多いです。
胃がんは進行しても自覚症状が出ないケースもあるので、定期的にがん検診を受けるなどして、早期発見に努めましょう。胃がんが見つかった場合、外科治療や内視鏡治療などが行われますが、進行度(ステージ)や転移の有無などによっても変わります。
4.胃もたれやゲップの症状は放置しても大丈夫?
胃もたれやゲップが続く場合、症状を放置しても大丈夫なのでしょうか。「様子見で問題ないケース」と「医療機関の受診を検討すべきケース」を解説します。
様子見で問題ないケース
・前日、食べすぎた(飲みすぎた)
・時間がなくて早食いになってしまった
・食べてすぐ横になった
・炭酸飲料を飲んだ
上記のように胃もたれやゲップの原因が明確で、数日程度の一時的な症状であれば、急いで受診するほどの心配はないと考えられるでしょう。とはいえ、日常生活に支障が出ていたり、不安で仕方がなかったりするなら、「受診するほどじゃないかもしれない」と感じていても医療機関を受診したり、専門家に相談したりしてみてください。
<編集部より>
医師や保健師、看護師などの専門家に相談することができる、健康相談サービスについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
健康相談サービスって何?
医療機関の受診を検討すべきケース
・胃もたれやゲップの症状が長く続いている
・症状の原因に心当たりがない
・胃もたれ・ゲップ以外の症状も伴う
・市販薬を服用しても、症状が改善されない
・体重の減少がある
上記のようなケースに当てはまる場合は、一度医療機関の受診を検討してください。これらのケースは何らかの病気が原因で胃もたれやゲップの症状が出ていることも考えられます。病状が進行することで、治療が難しくなる可能性もあるので、気になる症状があるときは早めに専門医の診断を受けることが重要です。
5.胃もたれやゲップの症状が続くときは何科を受診すればよい?
胃もたれやゲップの症状は、消化器内科が専門です。もちろん、まずはかかりつけの内科でも問題ありません。検査のために他の病院に行くのは大変だと感じる方や、検査の必要性を感じている方は、最初から消化器内科を受診するとよいでしょう。
また、ストレスが原因の場合は心療内科へかかることもあります。ストレスが原因であると感じていてもどうすればよいかわからない場合は、心療内科や、カウンセラーなど専門家にも相談してみてください。
6.胃もたれ・ゲップの改善には生活習慣の見直しが必要|症状が続くなら専門家へ相談を
胃もたれやゲップの症状は、生活習慣が原因になっているケースも多いです。脂肪分の多い食事の摂りすぎ、早食い、猫背などの習慣は、胃もたれ・ゲップの原因となるので、まずは日々の生活を見直しましょう。
胃もたれやゲップが長く続いている場合、市販の胃腸薬を服用しても症状が改善されない場合や他の症状を伴う場合は、消化器内科のある医療機関で専門家に相談するようにしてください。
<編集部より>
「胃もたれやゲップが続いている」「市販薬を飲んでも症状が改善されない気がする」そんなとき、保健師や看護師などに相談できる『健康相談サービス』をご存じでしょうか。詳しくはこちらをご覧ください。

<<監修者プロフィール>>
女医によるファミリークリニック 院長 大井美恵子
●経歴
平成21年3月 金沢医科大学医学部医学科卒業
平成21年4月〜平成23年3月 医療法人あかね会 土谷総合病院勤務
平成23年4月〜 広島市立広島市民病院小児科勤務
平成28年12月 女医によるファミリークリニックを開業
●資格
難病指定医・キレーション認定医、小児慢性特定疾患指定医、子どもの心相談医、高濃度ビタミンC点滴療法認定医
●所属学会
日本小児科学会、日本リウマチ学会、日本抗加齢医学会、日本アレルギー学会、日本小児皮膚科学会、日本小児科医会 ほか
参考
- 農林水産省「カプサイシンに関する情報」
https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/capsaicin/#no5 - 農林水産省「カプサイシンに関する詳細情報」
https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/capsaicin/syousai/index.html#no3
※当記事は、2025年5月に作成されたものです。
※医師の診断や治療法については、各々の疾患・症状やその時の最新の治療法によって異なります。当記事がすべてのケースにおいて当てはまるわけではありません。
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