気になる症状と病気

ストレートネック(スマホ首)の原因と予防・改善

現代病といわれ、日本人の多くがその状態にあるとされる「ストレートネック」(スマホ首)。子どもから年配者まで、スマートフォン(スマホ)やパソコンを日常的に使う現在、ストレートネックはどのようにして起こり、心身にどのような影響が表れるのか。日常生活でできる予防・改善策について考えてみました。

1.ストレートネックとその原因

ストレートネックとは

スマホやパソコンを利用するとき、多くの場合、画面を見るために、うつむき姿勢で首は前傾します。この姿勢を長時間取り続け、それが常態化すると本来は前側に緩やかにカーブしている首の骨(頸椎<けいつい>)が徐々に真っすぐになり、その状態で固まってしまいます。これがストレートネックで、スマホ首ともいわれています。ストレートネックは、それ自体は病気ではなく、首の骨が真っすぐになった状態をいいます。

正常な頸椎とストレートネック

ストレートネックの原因

なぜ、うつむき姿勢を取り続けるとストレートネックになってしまうのでしょうか。

人の頭の重さは、体重の約10%といわれています。体重50kgの人であれば、頭の重さは約5kgになります。この重さを、体の真上に位置するよう首で支えるために、本来首の骨は前弯(ぜんわん)していますが、スマホやパソコンの画面を見るなどしてうつむくと、頭は体の前に出て、首は頭の重さを支えきれずに前傾し、真っすぐになります。

この状態が、一時的であれば問題はありませんが、スマホ利用などで首の骨が真っすぐになった状態が長時間続くと、関節や筋肉がその状態で固まり、正しい姿勢を取っても首の骨の状態は戻らなくなります。これがストレートネックの主な原因です。


総務省の調査(※)によると、平日1日の主な機器によるインターネット平均利用時間は、20代でパソコン約1時間14分・モバイル(スマートフォンおよびフィーチャーフォン)約3時間18分、30代でパソコン約1時間3分・モバイル約2時間9分となっていて、休日の20代ではモバイル平均利用が約4時間4分という結果が出ています。

これだけ長時間、姿勢を気にせず画面を見続ければ、ストレートネックのリスクが高まることは言うまでもありません。

2.ストレートネックがもたらす症状

ストレートネックになると、骨の構造上、頭は体の前に出ます。体の真上に頭があるときに首にかかる頭の重さが、首が前傾することで、その何倍もの負荷が首にかかります。そのとき首はもちろん、首につながる肩や背中の筋肉にも負担がかかり、首や肩に凝りが生じます。


■首の角度と頭の重さ(体重50kg・頭の重さ約5kgの人の場合)


・首の角度が15°

首にかかる頭の重さ:約12kg(通常の2~3倍)


・首の角度が30°

首にかかる頭の重さ:約18kg(通常の3~4倍)


・首の角度が60°

首にかかる頭の重さ:約27kg(通常の5~6倍)

体と心に表れる症状

ストレートネックになると、首や肩の凝りに限らず、頭痛や目まい、吐き気、腕のしびれなどの症状が体に表れます。

また、首の凝りは自律神経にも影響を与えるため、うつ病や睡眠障害など心の病につながることもあります。

ストレートネックのセルフチェック

「もしかして、自分もストレートネック?」と思ったら、簡単にできるセルフチェックをしてみましょう。


①壁を背にして、真っすぐに立ちます。

②かかと、お尻、肩甲骨を順に壁に付け、最後に後頭部の4点を壁に付けます。


・自然に後頭部が壁に付く

→ 首の骨は正常な状態


・意識して首を後ろに倒せば、後頭部がつく

→ ストレートネックの可能性あり


・後頭部が壁につかない

→ ストレートネックの可能性が高い

ストレートネックのセルフチェック

3.ストレートネックの予防と改善

ストレートネックを防ぐためには、日頃から正しい姿勢を心掛けて過ごすことが大切です。日常生活でできる、ストレートネックの予防と改善策をご紹介します。


スマホやパソコンの画面は、目の高さに

ストレートネックの予防と改善には、スマホやパソコンを使用するときに、正しい姿勢を意識して保つことが大切です。スマホを使用するときは、画面を目の高さまで上げて、首が前に傾かないように注意しましょう。

パソコンを使用するときは、イスに深く正しく座り、ディスプレイは目から40cm以上の距離を空けましょう。画面が下にあると、顔が下を向いてしまう場合は、パソコンスタンドなどを利用して、画面を目の高さまで上げてもよいでしょう。


長時間同じ姿勢は避け、1時間に1回は休憩を

スマホやパソコンの操作や閲覧をしていると、気付かないうちに数時間がたっていたということも、よくあります。ストレートネックの予防に限らず、目や体の負担を避けるためにも、長時間同じ姿勢で作業をすることは避け、スマホやパソコンを使用する際には、1時間以内に10~15分の休憩をとりましょう。「時間を忘れてスマホをいじってしまう」という人は、スマホの制限アプリなどを利用するのもお勧めです。


枕は首の状態に合わせて

枕は首の骨のカーブと合い、ぴったりとした高さのものを選びましょう。特に、高過ぎる枕はストレートネックの原因となります。

すでにストレートネック気味の人は、首の筋肉が硬くなっていたり骨が動きにくくなっていることがあります。そのような場合、首の部分が高過ぎる枕は特に頸椎に負担がかかります。真っすぐに立っているときと同じ姿勢を横になっても保てるような枕を選びましょう。


●ゆっくり入浴し、首の凝りをほぐす

ストレートネックの人は、首や肩の筋肉が硬くなり、凝りや張りが起こりやすくなります。ぬるめのお風呂に首までゆっくり漬かり、首や肩の血行を促進し、凝りや張りをほぐしましょう。

4.まとめ

ストレートネックは、一度その状態になると、治りにくいといわれています。常に首や肩に負担がかかり日常生活にも支障を来すので、普段の心掛けでストレートネックの予防や改善ができるならば、ぜひ実践したいものです。

また、「ストレートネックだから」とやり過ごしている首や肩、腕のしびれなどの症状が、他の病気が原因になっていることもあります。気になる症状があれば、早めに受診しましょう。


原稿・社会保険研究所Copyright


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<編集部より>

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参考

※当記事は、2024年8月に作成されたものです。
※医師の診断や治療法については、各々の疾患・症状やその時の最新の治療法によって異なります。当記事がすべてのケースにおいて当てはまるわけではありません。

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