気になる症状と病気

眼精疲労の原因と対策について

公開日:2023.08.22

現代人はパソコンやスマートフォンが手放せない生活を送っています。そのなかで眼精疲労に悩まされている方も多いのではないでしょうか。本記事では、眼精疲労の症状(特にドライアイ)と原因、眼精疲労からくる目以外の症状、眼精疲労を引き起こす原因(VDT作業)と対策などを解説します。

1.眼精疲労の基本情報

ここでは、眼精疲労の基本的な情報を解説します。

1.1眼精疲労とは何か

「目に疲れを感じること」を眼精疲労といいます。眼精疲労の人はさまざまな症状の訴えがあります。そして、その原因もさまざまです。

主な原因としては、まず、矯正不良(メガネやコンタクトレンズの度が合わないこと)、白内障・緑内障、眼瞼下垂(がんけんかすい、まぶたが下がってくること)、ドライアイなど、目そのものに関係するものがあります。
そのほか、VDT(Visual Display Terminals)作業による影響、また更年期障害や自律神経失調症など、身体のトラブルが原因になることもあります。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

1.2眼精疲労の目の症状と原因

眼精疲労の症状の訴えはさまざまです。「目が疲れる」といった症状をはじめ、「目がぼやける」「目が痛む」「まぶたが重い」「目がしょぼしょぼする」「光がまぶしく感じる」「涙が出る」などの症状があります。
これらの症状の、目からくる原因として以下のようなものがあります。

1.2.1矯正不良

度数の合わないメガネやコンタクトレンズを使用し続けることにより、目のピントが常に合いづらいため、眼精疲労の原因となります。

1.2.2白内障・緑内障

白内障は、加齢などにともない、目のレンズの役割を果たす水晶体が濁る病気です。ピントを合わせようと目を使うことで眼精疲労を起こします。
緑内障は視野が狭くなる病気で、必死に見ようとすることで眼精疲労の原因となることがあります。

1.2.3眼瞼下垂(がんけんかすい)

眼瞼下垂は、上まぶたの筋肉がゆるみ垂れ下がってくる症状です。視野が狭くなることで目が開けにくく、目が疲れ、眼精疲労につながります。

1.2.4近視・遠視・乱視・老眼

近視・遠視・乱視によりピントが合わせにくく、目に負担がかかり、眼精疲労の原因となります。
また、老眼(老視)も、近いものが見えづらくなり、ピントを合わせようとするために目に負担がかかり、同様に眼精疲労の原因となります。

1.3眼精疲労によるドライアイ

眼精疲労で特に多くみられるのは、ドライアイの症状です。
ドライアイは涙が少ないことによって、目の表面が潤されず、乾燥してしまう症状です。ドライアイの主な原因としては、パソコンやテレビ、スマートフォンなどの見過ぎにより、まばたきが減り、涙が乾きやすくなることがあげられます。

2.眼精疲労による目以外の症状と原因

眼精疲労の症状は、目にあらわれるだけではありません。肩こり・疲労感・頭痛・めまい・吐き気など、身体に症状があらわれることもあります。
また、更年期障害や、精神的ストレス、またそれらに伴う自律神経失調症など、目以外の身体の異常で起きることもあります。

また、風邪などの感染症や、アレルギー性鼻炎、虫歯や歯周病による歯の痛みは、目の痛みを誘発することもあり、眼精疲労の原因になることもあります。

3.眼精疲労とVDT作業

眼精疲労には、多くの職場で導入されたVDT作業も影響しています。ここではVDT作業と、その対策についてみていきます。

3.1VDT作業とは何か

VDTとは、「Visual Display Terminals」の略です。具体的には、ディスプレイ、キーボードなどにより構成されたコンピュータの、文字や動画などを表示する装置(VDT機器)のことです。
このVDT機器を使用して、データの入力や検索をしたり、文章や画像を作成・編集したり、またプログラミングをしたりすることを、VDT作業といいます。

VDT作業を長時間することで、眼精疲労のほか、肩こりをはじめとした身体的疲労、さらには精神的疲労を感じることが多くなると報告されており、労働衛生上の問題ともなっています。

3.2 VDT作業環境を整える

VDT作業による身体的疲労および精神的疲労を軽減するために、厚生労働省による『VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン』では、作業環境の管理を行うことが推奨されています。

具体的には、作業場所での照明や採光、ディスプレイからのグレア(まぶしさ)の防止、機器からの騒音の低減措置をはじめ、作業時間の管理や、機器や作業スペースの選択や調整にも注意がされています。

3.3 VDT健診

『VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン』では、VDT作業者の健康状態を維持するため、健康診断の際に、年1回のVDT健診を受けることを推奨しています。VDT健診では、業務の状況や自覚症状の有無などをあらかじめ聞き取り、視力検査や、腕の運動機能や痛みがないかなどの検査が行われます。

4.眼精疲労を避ける環境を整え、VDT健診も受診を

現代において眼精疲労を完全に防ぐことは難しいものの、VDT作業環境を整えることによって、発症を抑えることは可能です。眼精疲労からくるさまざまな症状を和らげるためにも、まずは目を使う環境が適切かどうかを確認してみましょう。対象者の場合は、健康診断でVDT健診も受診しましょう。


<編集部より>
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«執筆者プロフィール≫
ライター・小南哲司(こみなみてつじ)
医療系出版社勤務を経て2022年よりライターに。医療分野の記事を中心に執筆。
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参考

※本記事の情報は、2023年7月時点のものです。
※検査の項目や条件などは、今後変更になる可能性がありますので、予めご了承ください。
※医師の診断や治療法については、各々の疾患・症状やその時の最新の治療法によって異なります。当記事がすべてのケースにおいて当てはまるわけではありません。

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