秋にアレルギー症状が出る際の主な原因としては、花粉とダニによるアレルギーが考えられます。花粉症と聞くと春のイメージがあるかもしれませんが、実は秋にも飛散する花粉があり、その花粉によってアレルギー症状が出る場合もあります。また夏から秋にかけて繁殖するダニも、秋頃にアレルギーを引き起こすことがあります。本記事で、秋に生じるアレルギーの原因と対策について見ていきましょう。
目次
1.秋のアレルギー症状の原因には大きく2種類存在する
秋にくしゃみや鼻水が出るなどの症状が続いた場合は、風邪ではなくアレルギーの可能性があります。秋のアレルギー症状の原因は大きく2つあり、1つが花粉で、もう1つがダニ(ハウスダスト)です。
「花粉症は春だけでは?」と思うかもしれませんが、実は秋に飛散する花粉は数種類存在します。たとえば、道端でよく見かけるブタクサやヨモギなどの花粉は、秋に飛散する花粉の1つです。
また、花粉だけでなく、室内に潜んでいるダニやダニの死骸・ダニのフンなども、アレルギーの原因となります。
2.秋の花粉症の概要と対策
秋の花粉症とは、夏の終わり頃から10月頃にかけて発症するアレルギーのことです。症状の出る時期は、アレルギーの原因となる花粉によって異なります。
では、秋にはどのような花粉が飛散するのでしょうか。ここでは、秋に飛散する主な花粉や秋の花粉症の症状、対策について解説します。
2.1秋に飛散する主な花粉
春に飛散する花粉はスギやヒノキが中心ですが、秋には春とは異なった花粉が飛散する傾向にあります。秋に花粉が飛散する主な植物には、イネ科、ブタクサ属(キク科)、ヨモギ属(キク科)、カナムグラ(アサ科)などがあげられます。
ただし、飛散する花粉の種類や量が居住地域によって異なる点には注意が必要です。
環境省が発表している『花粉症環境保健マニュアル2022(2022年3月改訂版)』(※1)を参考にすると、下図のように、花粉は地域によって飛散する時期に差が生じていることがわかります。
【出典】環境省 花粉症環境保健マニュアル2022(2022年3月改訂版)より引用
https://www.env.go.jp/chemi/anzen/kafun/2022_full.pdf
目安としては、春から初秋にかけてカモガヤなどのイネ科の花粉、8月から10月にかけてブタクサやヨモギなどの雑草類の花粉が飛散すると考えると良いでしょう。
2.2秋の花粉症の症状
秋の花粉症の症状は春と同様であり、特に違いは見られません。
目に花粉が入った場合は目が痒くなったり、充血したりします。
また、鼻から体内に入った場合はくしゃみが出る、喉が痒くなる、咳が出るなどの症状のほか、鼻詰まりによる頭痛や微熱、だるさなどの症状が出ることもあります。
なお秋の花粉症については、「秋の花粉症について」にてより詳しく解説しています。こちらもあわせてご一読ください。
2.3秋の花粉症の対策
秋の花粉症の症状を抑えるためには、春の花粉症と同様に、花粉を身体に入れないようにすることがポイントです。具体的には、以下のような対策を行うと良いでしょう。
- マスクをする
- うがいをする
- 洗顔をする
- 表面がすべすべした服を着る
- めがねをかける
- 帽子をかぶる
なかでもマスクは、「花粉の飛散の多いときには吸い込む花粉をおよそ3分の1から6分の1に減らし、鼻の症状を少なくさせる効果」(※1)が期待されています。可能な限りの対策を行い、なるべく体内に入る花粉を減らしましょう。
【出典】
※1: 環境省 花粉症環境保健マニュアル2022(2022年3月改訂版)
https://www.env.go.jp/chemi/anzen/kafun/2022_full.pdf
3.ダニによるアレルギーの症状と対策
ダニは花粉と同様に、口や鼻から吸い込むことでアレルギー症状を引き起こします。繁殖のピークである夏から秋にかけて最も増殖し、特に秋にアレルギー症状が発生するケースが多いです。
3.1ダニによるアレルギーの症状
ダニによるアレルギーでは、ダニそのものではなく、ダニの死骸やフンなどを吸い込むことが、アレルギー症状が生じる原因の1つとなります。
アレルギー症状としては鼻水が出る、目や皮膚に痒みが出る、などがあげられます。また、喘息の原因ともなります。
3.2ダニによるアレルギーの対策
ダニによるアレルギー症状を減らすためには、とにかくダニを減らすことが重要です。ダニは、湿度や気温が高い場所で繁殖しやすいとされているため、以下のような対策によってダニや死骸を減らしましょう。
- 換気を行う
- 寝具やクッションを太陽光や乾燥機で乾燥させる
- シーツ類をこまめに取り替える
- 床はカーペットではなくフローリングにする
- 掃除機をかける頻度を高くする
また、ダニは洗い流すことができるため、寝具やクッションカバーなどを丸洗いすることも効果的です。
4.アレルギーの調べ方
「もしかしたらアレルギーかもしれない」と感じたら、一度検査をして何のアレルギーか調べてみるのも良いでしょう。アレルギーの調べ方にはいくつかの方法がありますが、主な方法は以下の3種類です。
- 特異的IgE抗体検査
- 皮膚プリックテスト
- パッチテスト
1つ目の「特異的IgE抗体検査」は比較的実施されるケースが多い検査方法で、血液検査によって、アレルギー物質のIgE抗体が血液中にあるかどうかを調べる検査です。
2つ目の「皮膚プリックテスト」は、「皮膚にアレルギー物質が含まれるエキスを少量滴下して、専用の針で皮膚に小さなキズをつけてアレルギー反応を調べる検査」(※2)です。
3つ目の「パッチテスト」は、「専用のパッチテストユニットに試薬を添付し、皮膚に貼り付け」(※2)、反応を見る検査です。
どの検査を行うのかは、疑われるアレルギーの種類などによっても異なります。アレルギーの検査を受けたい場合は、医師に相談してみてください。
【出典】
※2 :アレルギーポータル「アレルギー検査について」
https://allergyportal.jp/knowledge/testing/
5.秋のアレルギー症状は花粉かダニを疑おう
秋にくしゃみや鼻水、目のかゆみなどのアレルギー症状が発生する場合は、秋のアレルギーが考えられます。秋の花粉症か、ダニによるアレルギーのどちらかによってアレルギー症状が出ている可能性が高いでしょう。
アレルギー症状を抑えるには、花粉などのアレルゲンとなる物質をなるべく身体に取り込まないようにすることが重要です。マスクの着用やこまめな掃除のほか、症状が酷い場合は受診も検討しましょう。
<編集部より>
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≪執筆者プロフィール≫
ライター・タケウチ ノゾミ
フリーライター・編集者。医療、介護、ビジネスを中心に幅広いジャンルの記事を執筆。
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参考
- 環境省「花粉症環境保健マニュアル2022(2022年3月改訂版)」
https://www.env.go.jp/chemi/anzen/kafun/2022_full.pdf - 厚生労働省「シックハウス症候群」
https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/000879986.pdf - 厚生労働省「平成22年度花粉症対策」
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/kenkou/ryumachi/kafun/ippan-qa.html - アレルギーポータル「室内環境の整備」
https://allergyportal.jp/provision/indoor-environment/ - アレルギーポータル「アレルギー検査について」
https://allergyportal.jp/knowledge/testing/
※当記事は2023年7月時点で作成したものです。
※医師の診断や治療法については、各々の疾患・症状やその時の最新の治療法によって異なります。当記事がすべてのケースにおいて当てはまるわけではありません。
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