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【子宮頸がん・セカオピ体験談】ヘアロスを隠すのではなくプラスに変える“BAREN(バレン)”誕生ストーリー

公開日:2025.11.05

「がんになったら、おしゃれは諦めなければいけない」──そう考えている方は少なくありません。特に抗がん剤治療で髪が抜けてしまう「ヘアロス」時期は、鏡を見ることすらつらくなる人も多いのです。しかし、子宮頸がんを経験した原まゆみさん(以下、まゆみさん)は、治療中だからこそ“今しかできないおしゃれ”を楽しもうと考えました。その結果、起業してがん患者向けに誕生したウィッグブランド「BAREN(以下、バレン)」を作りました。バレンを介してまゆみさんは今、多くのサバイバーに勇気と華やかさを届けています。本インタビューでは、まゆみさんの子宮頸がん、セカンドオピニオンの体験談、起業のこと、そして次の目標をご紹介します。

BAREN(バレン)をつけた原まゆみさん
まるで「おしゃれの上級者」のヘアスタイルを叶えるバレン

マイナスをゼロに戻すのではなく、振り切ってプラスへ。がん治療中でも「おしゃれを楽しんでいい」という当たり前を形にした、ウィッグブランド BAREN(バレン)とは?

子宮頸がんの体験を経て誕生したヘアウィッグブランドのバレンは、抗がん剤治療中の患者が「おしゃれを楽しみながら前を向ける」ことを応援するウィッグブランドです。


まゆみさん自身、抗がん剤治療で髪を失い、一般的なウィッグを試してみたものの、重さやデザインが合わず頭痛や不快感に悩まされました。バンダナに毛が付いた簡易的なタイプも検討しましたが、可愛くなく、気持ちも沈んでしまったと言います。


『どうせウィッグをかぶるなら、おしゃれに、華やかに。今しかできないおしゃれをしよう』──そう考えて立ち上げたのが「バレン」でした。


ウィッグを全くかぶらなくなった時期にまゆみさんは手持ちのスカーフを頭に巻いてカバーしていて、それがBARENスカーフハットの原点になったといいます。


ちなみにブランド名は、関西弁の「バレん(バレない)」から名付けたもの。まゆみさんのポジティブとユーモアがここからもわかります。


実際に着用した利用者は街中で「それ、オシャレね」と国際的にも有名なモデルさんに声をかけられるほど、がん患者用に見えないデザイン性が特長です。


『髪の毛を失ったから隠して元の姿に戻すのではなく、どうせなら大きく振り切って、髪の毛があったときはやらなかったであろうおしゃれを提案したかったんです』──この発想がバレンの譲れないコンセプトです。

子宮頸がんの発覚と治療体験。きっかけはぎっくり腰

まゆみさんが病気を知ったのは、ぎっくり腰がきっかけでした。なんか痛いなと思い病院で検査を受けたところ、子宮頸がんが見つかったのです。ステージ3と診断され抗がん剤治療が始まりました。子どもが小さかったため、通院しやすい病院で治療ができたことに救われたと振り返ります。


また、お子さんには『お母さん、ストレスがあると死ぬかもしれないから、いい子にしてね』と、ストレートに明るく伝えたそうです。このユーモラスで前向きな伝え方が、家族の支えにもつながりました。娘さんたちはバレンのモデル撮影の手伝い、商品に関する意見をくれたり、“BARENちゃん”というLINEスタンプも制作したり全力でサポートしてくれています。

LINEスタンプの“BARENちゃん”

セカンドオピニオンの体験談「受けられたことは運がよかった。でも、患者負担が大きい制度と感じた」

がんの診断を受けたときも、再発したときも、まゆみさんはセカンドオピニオンを受けています。主治医から勧められたことで紹介状やセカンドオピニオン予約はスムーズでしたが、大きな負担となったのは「費用」と「自分の病状を説明し直すこと」でした。


セカンドオピニオンを受ける際に、医師が「それで?」と会話をはじめた瞬間、『そうか、セカンドオピニオンは、自分がプレゼンモードにならなければいけないのか。』とびっくりしたと語ります。


『私は仕事柄できたけれど、誰もがそうはいかない。だからこそ、サポートしてくれるサービスが必要だと思った』──実はまゆみさんは、ティーペックの「セカンドオピニオン手配サービス」の対象者だったものの、当時はその存在を知らず、自費かつ「プレゼンモード」でセカンドオピニオンを受けました。今振り返ると、知っていれば活用したかったと話していました。


関連記事:セカンドオピニオンって実際どうなの?

再発時はとてもショックだった「命には限りがあるから、やりたいことをやろう」

一度目の診断時は、自分が子宮頸がんである事実を理解し、「子どもにお金を残そう」と冷静に受け止めたまゆみさんですが、再発時には大きなショックを受けました。「再発」という言葉は、やはりがん患者にとって重く心にのしかかります。


それでもまゆみさんは、再発と聞いても、「限りある命の中でやりたいことはやる」の思いは変わらず、それが原動力となっています。バレンの目指すマーケットは、国内のみに留まらず世界も視野に入っています。

次なる目標はユーザー(患者)同士のつながりと海外展開。当たり前だけど忘れがちな「人生どんな時でもおしゃれをしていい」という感覚

抗がん剤治療はつらいものです。しかし、そこで生まれたのが「バレン」のように、“今しかできないおしゃれ”を楽しむ選択肢です。


おしゃれをすると気分が上がり、外に出かけたくなる。この気持ちは、がん治療中であっても誰にでも共通するものです。


「治療中だからおしゃれは我慢しなければならない」──そんな思い込みやブレーキに縛られる必要はありません。まゆみさんは、この“当たり前だけれど忘れがち”なことを形にし、社会へ提案してくれています。


まゆみさんは『がん治療中だとしても、今だからこそ楽しめる色やデザインがある。人生の一時期を、笑顔で乗り越えてほしい』と語ります。今後は、より多くの人にバレンを知ってもらうこと、そしてバレンを利用しているユーザーであるがん患者同士がつながれるコミュニティ作り、さらに海外展開も視野に入れているそうです。まゆみさんのこれからの活動にも目が離せません。

株式会社MAYK代表取締役

原まゆみ

大学卒業後リクルートを経てサイバーエージェントにウェブデザイナーとして入社し、新規サービスの立ち上げなどを数多く手がける。自宅のリノベーションをきっかけに、二級建築士とインテリアコーディネーターの資格を取得。オーダー家具ブランドのD2Cベンチャー企業にて、インテリアデザイナーとしてスタートアップから携わる。2021年7月子宮頸がんを患い、治療中に感じた「もっと快適でオシャレなウィッグや帽子が欲しい」というホンネと、同じような悩みを抱える女性が大勢いることを知り、医療用帽子のブランドBARENを立ち上げる。開発期間1年を経て、2023年3月販売スタート。

BAREN(バレン)
“ウィッグが取り外せるケア帽子”専門ブランド
https://baren.tokyo/

記事:ティーペック株式会社広報・大井美深

※セカオピはティーペック株式会社の登録商標です。
※当記事は、2025年10月に作成されたものです。
※当記事内のインタビューは、2025年8月に行われたものです。
※当記事は個人の体験談に基づくものです。
※医師の診断や治療法については、各々の疾患・症状やその時の最新の治療法によって異なります。当記事がすべてのケースにおいて当てはまるわけではありません。

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