乳がん治療において、「乳房再建」や「セカンドオピニオン」は、心と体の両面を支える大切な選択肢です。しかし、多くの人にとってその存在や意味はまだ十分に認知されていません。2025年のセカンドオピニオンを考える日(毎年2月14日)に乳がんサバイバー支援団体E-BeCと協力して開催した「E-BeC(エンパワリングブレストキャンサー)乳房再建写真集(以下、E-BeC写真集)」の応募者アンケートを公開します。
目次
アンケート結果の概要
ティーペックでは、「セカンドオピニオンを考える日」の関連企画として、蜷川実花氏が撮影したE-BeC写真集のプレゼントキャンペーンを実施しました。この取り組みに対して84名から応募があり、乳がん・セカンドオピニオン・乳房再建に関するアンケートにもご協力いただきました。
<参考>【2.14はセカオピを考える日】蜷川実花さん撮影の写真集「New Born -乳房再建の女神たち-」プレゼント
アンケートの結果、下記のような現状が明らかになりました。
- 約半数(46.4%)が「身近に乳がん経験者がいる」と回答
- 「セカンドオピニオンを受けた人がいる」は28.6%
- 「セカンドオピニオン」の内容を詳しく理解している人はわずか8.3%、まったく知らない人も7.1%
- 「乳房再建」は「言葉は知っているが内容は知らない」という意見が多数
- 乳房再建やセカンドオピニオンなどの情報発信の方法としては、「イベント(25%)」「ニュース記事(23.8%)」「リーフレットや冊子(約40%)」などが有効と考えられている




今回のE-BeC写真集プレゼント企画応募者のデータにはなりますが、この結果から、単に乳がんやセカンドオピニオン、乳房再建を「知っている」だけではなく、「理解している」人がまだ少ない現状が浮かび上がりました。
アンケートの自由回答から見えてきたセカオピ、乳房再建への本音
アンケートには、当事者やその周囲の方から数多くの率直な声が寄せられました。自由回答では、「主治医にセカンドオピニオンを申し出るのが怖くて、利用を断念した」という実例から主治医に伝えるハードルの高さが伝わるものや、周囲からどう思われるかを悩んでいるサバイバーの方がいることなど、課題も見えてきました。
<自由回答抜粋>
- 知り合いで乳房再建しなかった乳がんサバイバーは「洋服を着ていたら胸の見た目が左右で違う。自分はいいけど、周りの人が見てどう思うか。」と周りの人へ配慮していました。乳がんの人自身の声などはテレビやネットでもよく聞きますが、その周囲の人が「気にしなくていいんだよ」とか「そのまま堂々としといて」など、どのように声をかけたらいいか参考になるものがあればお互いに配慮しあって心地よく過ごせるかと思います。
- 生命保険にセカンドオピニオン手配サービスが付いているものは多いけれど、利用されている方は少ないように思います。医療技術が発達しているので、一人の医師からの治療方法だけでなく、生きている先のことを考えて自分の心と身体に負担がないよう、セカンドオピニオンの利用、乳房再建は必要なことだと思います。
- 乳がんや乳房再建は、治療だけでなくその後の生活や心のケアがとても大切だと感じます。また、セカンドオピニオンを活用することで、より納得した治療選択ができる点に関心があります。また、乳房再建が患者さんの自己肯定感や生活の質にどのように影響するのかという点にも興味があります。
- 5年前に乳がんになり全摘、乳房再建をしたものです。このような形でがんサバイバーが強く美しく表現してもらえるのは大変嬉しく今後の励みになりますし感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございます。
- セカンドオピニオンは、主治医に遠慮して受けない選択をする人が多い。私の友人もそのうちのひとり。セカンドオピニオンを気軽に受けることができる世の中になってほしい。
- 過去にセカンドオピニオンを受けたいと思ったことがありますが、担当医師との関係悪化を気にしてできませんでした。医師側からの率直な気持ちを聞く機会があれば、権利として行使しやすくなるのかなと思います。具体的にどの様に担当医師に言うか?角が立たない工夫なども知りたいです。セカオピの流れ、セカオピ後の流れ(担当医師と進める場合と気持ちが変わった場合など)の分かりやすい図解などあればさらに嬉しいです。
- 私は甲状腺乳頭がんの手術歴があり、定期的に乳腺甲状腺外科へ検査のため通院しています。かなりお辛そうな様子で、乳がんの告知をされたのかな、という方をお見かけしたことがあります。乳房切除は女性にとって、体だけではなく、どれほどの心の痛みだろうと思います。自分がもし乳がんになったら、乳房再建を希望すると思います。
セカンドオピニオンや乳房再建は “選ぶ”自由と同時に、“選ばなかった”場合の気持ちの落としどころや、情報を“知らなかった”後悔が交差しているのが現実です。
特に印象的だったのは、やはりセカンドオピニオンの「医師との関係が悪くなりそうで言い出せなかった」という声です。医療技術が進化する一方で、心理的なハードルや情報の偏りが、治療の選択を狭めている可能性があるのです。
セカンドオピニオン、乳房再建、「選択肢を知っていること」をあたりまえにしたい
がん治療において、“何を選ぶか”は非常に個人的な決断です。だからこそ、セカンドオピニオンという手段や乳がんの場合は乳房再建などの選択肢を「知っている」ことが第一歩となります。
蜷川実花さんがE-BeC写真集で表現したのは、乳房再建の有無に関わらず、自分らしく前向きに生きる女性たちの姿です。この写真集がもたらしたのは、「再建って何?」「私も調べてみよう」という小さな気づき(興味関心)からの知識への導線です。
「知らなかった」から「知ってよかった」へ──その一歩が、誰かの選択の幅を広げるきっかけになります。
今後も、ニュース記事やイベント、冊子、そして体験者の声を通じて、正しく、やさしく、情報を届けていくことが大切と実感した企画でした。
NPO法人E-BeC代表真水さんからのメッセージ
このたびは、E-BeC写真集プレゼント企画にたくさんのご応募をいただき、誠にありがとうございました。これほど多くの方に関心を持っていただけたことを、とてもうれしく思います。
E-BeCでは、10月8日の「乳房再建を考える日」にあわせて、クローズドリボンWeekイベントや、リアルセミナー、日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会(富山県)での患者向けイベントなどを通じて、情報発信を行っています。
クローズドリボンウィークである10月8日(水)から10月10日(金)の3日間、全国どこからでも視聴できる無料のオンラインセミナー(参加登録あり)を開催します。乳がんサバイバーや医療関係者だけでなく、「乳房再建」に興味を持っていただけたすべての方に聴いていただきたい内容です。
ぜひご参加いただければ幸いです。
■セミナー・イベント情報

2025年10月8日(水) 19:00~20:00
「保険適用でできる乳房再建ってなに?今からでも知っておきたい選択肢」~治療と再建を“知って選ぶ”ために~
2025年10月9日(木) 19:00~20:00
「乳がんってどういう病気?診断治療までの基本の“き”」~いざというときに備えるために~
2025年10月10日(金) 19:00~20:00
「どうする?気持ちの整理と情報収集」~納得できる選択をするために~
主 催 : NPO法人エンパワリング ブレストキャンサー
共 催 : 一般社団法人日本乳癌学会、認定NPO法人キャンサーネットジャパン
協 賛 : アッヴィ合同会社アラガン・エステティックス、PRSS.Japan株式会社
運営協力 :ティーペック株式会社
後 援 : 厚生労働省(予定)
賛同企業(五十音順)
アクサ生命保険株式会社 朝日生命保険相互会社 SBI損害保険株式会社 株式会社インテグラル 株式会社CJKメディカルラボ 株式会社スヴェンソン 株式会社SouGo 株式会社ヌーブラジャパン 株式会社日立保険サービス 株式会社ファーストクルー 株式会社ベア―メディック 株式会社マエダモールド グンゼメディカル株式会社 ザイコアインターナショナル株式会社 セコム損害保険株式会社 第一三共ヘルスケア株式会社 ティーペック株式会社 ニチバン株式会社 マルホ株式会社 メトラス株式会社 有限会社フォーメディックス
<詳細・参加申し込みはこちら>
https://www.e-bec.com/archives/event/event14890
※セカオピはティーペック株式会社の登録商標です。
※当記事は、2025年8月に作成されたものです。
※医師の診断や治療法については、各々の疾患・症状やその時の最新の治療法によって異なります。当記事がすべてのケースにおいて当てはまるわけではありません。
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