『ステキ女性の人生から学ぶ!からだのこと』シリーズのナビゲーター・藤森香衣です。恵比寿は、中目黒、広尾、代官山が徒歩圏内なので、業界人など、おしゃれな人たちも多く集まり、青山、銀座よりも「うわー凄い!」と思う人たちとたくさんすれ違います。(フジモリカエ調べ。)今回は、そんな“おしゃれびと”たちと対照的な存在であった「鍼灸(しんきゅう)」のお店を恵比寿に作り、鍼灸のイメージまでも変えてしまった女性のお話です。美容鍼灸サロン「CALISTA(カリスタ)」「C by Calista(シーバイカリスタ)」は、アンチエイジングや、肌の悩みなどを改善する【美容鍼(びようばり)】を主とした美容サロンとして、美容好きな女性たちから愛される人気店。顧客にはモデル、芸能人なども多くいますが、彼女たちが長年、カリスタへ通い続けるのは、今回お話を伺う総院長CHIHIROさんの技術と信念にありました。
目次

アナウンサーからPRそして鍼灸師へキャリアチェンジ。女性におすすめできる鍼灸サロンをつくる!
――なぜ、鍼灸師になろうと思ったんですか?
大学卒業後、地方局に入社し、アナウンサーになりました。
アナウンサーは一見華やかに見えますが、テレビのニュース、レポーター、司会、ラジオのパーソナリティなど、ロケも多くて体力勝負。仕事が多岐に渡るので、すごいプレッシャーを感じながら仕事をしていました。
緊張感とプレッシャーで、ヘロヘロになっていても、番組に穴をあけるわけにはいかないし、カメラの前では常に口角を上げて(笑)、「仕事をするために、身体のメンテナンスをする」という状況でした。
全てが仕事優先で、健康を維持するというより、良い状態で仕事をするために、マッサージや、整体、カイロプラクティック、気功、アロマテラピー、ヨガなど、良いと聞いたものはとりあえずやりました。
ある時、祖母に会いに行った際に、「鍼をしたらとても調子が良くなった。いろんな症状に効果があるらしい」と聞いて、最初は単なる好奇心からでしたが、私にも紹介してほしいとお願いして、鍼灸を受けました。
若い読者さんにとって、鍼灸ってあまり身近ではないですし、独特のイメージがありますよね?
畳の古めかしいお部屋で、白衣のおじさん先生がやっているような…そして、通っているのは年配の方たちで、腰痛、関節痛、四十肩など、若い子が知らない痛みが理由で通うような所。
…私が行った鍼灸院も、まさにイメージ通りでした。笑
でも、とても腕の良い先生で、受けたその日に身体中の血液が巡って、気持ちもなんだか前向きになっていて、呼吸もしやすくて感動したんです。私にとって、「鍼灸は良い仕事をするために受けるもの」となり、施術をしてもらいながら、先生に鍼を打つ場所の理由やツボについて聞いたりするうちに、どんどん興味が湧いてきました。
「みんなも絶対受けるべき!」だと思いましたが、20代の若い女子には薦めづらいし、誘っても来ないだろうなぁ、と。当時、どこを見渡しても鍼灸の世界には、女性たちが好きな華やかさはありませんでした。
ただ、鍼灸が本当に自分が心から良いものだと思えたのと、受けたらその効果に感動するに違いないという確信があったので、これをもっとたくさんの女性に広めたい!という気持ちが強かったです。
鍼灸師は国家資格なので、学校に通って資格を取るまでに数百万円は必要です。すぐに決断できることではなかったので、「3年待って、それでも気持ちが変わらなかったら学校へ通おう」と決めました。
行きたい鍼灸学校が東京だったので、最初はフリーランスでアナウンサーをしようかとも考えました。ただちょうどPRの仕事が注目され始めた時で、PRのスキルは鍼灸師として独立した時にも役に立つし、今までのアナウンサーのキャリアも活かせると考え、27歳の時にアナウンサーを辞め、PR会社に転職しました。結局鍼灸に対する考えは変わらないと思い、ちょうど3年経った時に、念願の鍼灸学校の夜間部に入学しました。昼間PR会社で働き、就業後に学校へ通うのは本当に大変な日々でした。どうすれば授業で寝ないでいられるか、といつも考えていました(笑)。
ありがたいことに、美容鍼灸が注目され始めた時だったので、卒業後に開業してすぐに女性誌に取り上げていただく機会にも恵まれ、そこから紹介が紹介につながり…と、徐々に広まっていき、今に至ります。

鍼灸で整えるのは「美容」「からだ」「メンタル」。今の状態を知り、理想の状態を考える
――「美容鍼」というのは、前からありましたか?
私が学校に通い始めた頃は、美容鍼灸は一般的ではなく、美容の授業もありませんでした。
しかし、女性に広めるためには、どうしても鍼灸のイメージを変える必要があると考えていたため、美容をカリスタの施術の柱にしようと思いました。女性なら誰しもが美しくありたいと思うのは自然なことだと思いますし、鍼灸を通じて身体の内側からの美しさに貢献できると考えたからです。
全身にお灸と鍼をして血流を良くすれば、身体の不調も整いますし、結果的に肌にハリがでたり、透明感が出たり、美容面にもプラスの効果をもたらします。カリスタを始めて10年以上経って、メディアやSNSにも美容鍼灸が取り上げられる機会は増え、鍼灸のイメージがこの10年で変わってきたのを実感しています。多くの鍼灸学校でも、授業で美容鍼について学べるようになったことで、私が鍼灸の世界へ飛び込んだ時の何倍も女性の鍼灸師が増えました。「なりたい職業ランキング」の上位に鍼灸師が入る時代が来ると良いなぁと、思っています。
施術においてはカウンセリングにコーチングの手法を取り入れ、お客様に「痛い場所」や「お悩み」を聞くだけでなく、「痛みがあることで“何に困っているか”」「どんな状態が理想か?」まで耳を傾けて、お悩みのその先の在りたい姿の実現へのサポートを目指しています。
もちろん、最初はボロボロな体調でいらしたら、そこまでお話できない方もいます。
血流が良くなり、頭がクリアになって、睡眠の質もあがり、体調も改善したら…そうなった時に、どうなりたいかのカウンセリングをすることは、とても重要です。
実際にあった事例で、「会社を辞めたい」と悩んでいるお客様がいらっしゃいました。
通っている間に理想の状態を聞いてお考えを整理していったら、「嫌なのは会社ではなく、やりたい事ができない状況だ」と気づき、会社へ部署の異動を申請したそうです。異動してやりたい事ができるようになり、今ではイキイキとお仕事をされています。カリスタがサードプレイスになっているんだと、私もとても嬉しくなりました。
こういう方を見るたびに、心と身体が整うこと、自分の現在の心の状態に向き合うことは大切だと強く思います。
美容目的でいらっしゃっても、身体のメンテナンスでいらっしゃっても、心も身体も元気になれば、表情も明るくて、美しくなれるんですよね。

鍼灸師からみた最近の若者の傾向「首・肩こり」「目の疲れ」
――若いお客さんの傾向として、気になることはありますか
カリスタに来る方たちは、100%肩こりを抱えていますね。そして、目が疲れている。自覚がない場合も多いですが、首もとても硬いです。そして、睡眠の質が良くないとおっしゃる方も多いです。
これは恐らく、パソコンやスマホの使い過ぎによるものだと思います。
こういう状態になると、自律神経のバランスが悪くなり、よく眠れなくなったり、血行も悪くなって身体が冷えやすくなります。そして胃や腸の調子も悪くなって、肌も荒れていく…という悪循環になってしまいます。
自律神経は、交感神経と副交感神経という二種類の神経が、身体の機能を動かすためのアクセルとブレーキのような役割をしていると言われています。来店される方の多くは、頑張りすぎていて交感神経が高まっている(アクセルを踏みっぱなし)状態です。その状態が長く続くと、疲労が蓄積して、イライラしたり、気持ちが落ち込んだりと、メンタルにも影響が出てきてしまいます。
「鍼灸を受けるとよく眠れる」と言う方が多いんですが、それは全身に鍼やお灸をすることで血流が良くなり、自律神経のバランスが整って、副交感神経(ブレーキ)が作用するためと考えられています。
からだの冷えと「生理周期」。PMSに備える!月サイクルで考える健康管理
ぜひ、若い女性は身体が“冷えている”ことを知って、調整してほしいです。
女性は毎月、生理があり、それによって身体もメンタルも変化しています。冷えて血流が悪くなると、生理の時に血が出にくくなり、生理痛にもつながります。
内臓が冷えると生殖機能も低下しますから、子どもが欲しい時に出来にくいという影響が出てしまう可能性もあるので、若いうちからケアしましょう。
今は便利な「生理周期アプリ」があるので、登録すると良いと思います。ネガティブな時や、落ち込んでしまう、逆に肌のケアをするのに最適な時などが、1ヶ月のサイクルで分かるので、身体の不調を予測して対応しやすくなります。
子どもの頃から、生理痛が重かったり、生理不順だったりすると「それが普通」だと思って、生理周期を気にしないという方も多いですが、良くなることを知らないだけだったりします。
「痛みは、我慢するか薬を飲む」というのではなく、放置せずに漢方や鍼灸に頼ってみてほしいなと思います。原因がわかれば、痛みは改善できます!
――生理と言えば、月経前症候群(PMS)で悩んでいる人も多いですよね。
生理が終わって、次の生理が始まるまでの生理周期の中で、精神的にも肉体的にもいろいろな不調が現れる時期がありますよね。
その時期に起きる不調を「月経前症候群(PMS)」と言い、個人差はありますが、大体、生理が始まる3~10日前ぐらいに見られると言われています。イライラしたり、やたらと食欲が増えたり、むくんだり…などがあり、数日後に生理になって「生理のせいだった」と気づくことが多いようです。
きちんと生理周期を知っておけば、「今週はメンタル弱るけど来週は生理だから仕方ない」とか「今週は自分に優しくしておこう」など、備えることができます。
また、生理痛が重い方、ネガティブになってしまうなどPMSの症状が辛い方は、症状が出る前に鍼灸を受けておくと、生理前の不調に振り回されなくなるケースも多いです。
個人的には、PMSの場合は、鍼灸を受ける頻度は、2週間に1回が理想だと思っています。なぜなら、せっかく良い状態にしても月に1回だと、日が経つうちに姿勢の癖や衣食住、ストレスの影響で、元の状態に戻ってしまうからです。生理の初日から数えて10日目と20日目あたりに来ていただくのがおすすめです。生理周期に合わせてホルモンバランスと血流を良くしておくと、症状が出にくくなります。
生きているといろいろありますが(笑)、辛い状態や、痛みのある状態を仕方ないと思うのではなく、「ご自身の良い状態」を知って、大きな不調がない、365日調子が良いお身体でイキイキ過ごしてほしいと願っています。

【関連記事】PMSによる生理前のイライラ|症状を抑える方法や対策【医師監修】
――CHIHIRO先生のオススメのグッズを教えてください
私のオススメは「レッグウォーマー」です。
私は1年中寝る時にレッグウォーマーを使用しています。その日の気温や、体調によって素材や厚みで使い分けるので10個以上持っていますが、中がシルクで、外がコットンのものがお気に入りです。
足首には、【三陰交(さんいんこう)】という、子宮の血流のツボがあり、婦人科系に良いとされています。
なので、足首は本当に冷やさないようにして下さい。睡眠にも影響するので、寝つきが悪い方、身体が冷えやすい方はぜひ試してみてくださいね。
「思考が現実になる」。「動ける身体」と「立ち向かえるメンタル」があれば未来は変えられる!
――最後に、「好きな言葉」を教えてください
【思考が現実になる】という言葉です。
私はネガティブなことを考えたら、本当にそうなってしまうような気がしているので、考えそうになったら自分と対話して、思考を切り替えます。言霊ってあると思うので、私は口にも出さないように心がけています。
「動ける身体」と「立ち向かえるメンタル」があれば、過去は変えられないけれど、未来(現実)は自分次第で、いくらでも変えられますよね。
私は、血流は運気にも作用するんじゃないかと思っているのですが、血流が良くなって身体や心が整うことで、目の前の問題までクリアになり、目標ができたり、自分が望んだ未来を手に入れるお客様をたくさん見てきました。
元気でいることは、食べるものだったり、姿勢だったり、毎日の習慣の積み重ねです。昨日の自分が今日の自分を作っています。冷えている、浮腫んでいるなど、「自分の身体に意識を向けること」を大事にしながら、自分を大切にしていただきたいなと思っています。

“T-PEC子宮頸がんNAプロジェクト”とは? ティーペックとNPO法人C-ribbons(代表:藤森香衣)は2021年より、「病気になっても一人で悩まない(Not alone)」をテーマとして、子宮頸がんの早期発見を目指す「T-PEC子宮頸がんNAプロジェクト」を始めました。子宮頸がんの疑問・不安、もし見つかった場合もサポート先の知識や情報を届ける活動です。 その取り組みの1つが「ステキ女性の人生から学ぶ!からだのこと」です。各分野で活躍する女性に、人生談、自分らしく生きるための秘訣、そして健康のことを、C-ribbons代表でモデルの藤森香衣さんがインタビューします。様々な女性の生き方・考え方に触れ、自分の心身の状態を見直す機会にしていただくことで、健診・検診の重要さを伝えていきます。 |

カリスタ総院長
CHIHIRO
恵比寿・表参道・銀座など8店舗ある「CALISTA」「C by Calista」の総院長。
大学卒業後、TV局アナウンサー、PR会社勤務を経て、CALISTAを設立。
(資格)東洋鍼灸専門学校 修了/はり師、きゅう師、あん摩マッサージ指圧師
TVアナウンサー時代に鍼灸を受け、身体と心が整う感覚に感動した経験から、多くの女性に受けてもらいたいと、自ら鍼灸師を目指す。
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■取材・文/藤森香衣
モデル活動、NPO法人 C-ribbonsを設立、代表理事を務める。T-PEC子宮頸がんNAプロジェクトで企画・取材・執筆を担当。
■取材・編集/大井美深
ティーペック株式会社の広報担当。T-PEC子宮頸がんNAプロジェクトを担当。
※当記事は、2021年12月に作成されたものです。
※当記事内のインタビューは、2021年11月に行われたものです。
※当記事は個人の体験談に基づくものです。
※医師の診断や治療法については、各々の疾患・症状やその時の最新の治療法によって異なります。当記事がすべてのケースにおいて当てはまるわけではありません。
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