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カウンセリングとは?方法や効果、受ける手順を解説【専門家監修】

日常生活を送る中で、仕事や家庭、対人関係に関する悩みは尽きないものです。一人では悩みを抱えきれない状況に陥ったとき、カウンセリングを利用することが心を軽くする糸口となるかもしれません。カウンセリングにはさまざまな種類がありますが、本記事では「心理カウンセリング」の方法や効果、受ける手順、受けられる場所について解説します。(以下、専門家監修による記事です)

カウンセリングとは、専門家に悩みを聞いてもらいサポートを受けること

カウンセリングとは、心理学の専門知識を持つカウンセラーとの対話を通して、相談者が考えを整理したり、気づきを得たりするためのサポートを受けることです。カウンセラーは、医療、福祉といった分野のほか、教育現場でのスクールカウンセリング、企業が行う従業員向けのメンタルヘルスケアなどにおいて、相談者のストレスケアやアンガーマネジメントといった心のメンテナンス、相談の傾聴、抑うつ・適応障害などの心疾患の回復サポートを行います。

カウンセリングという言葉の本来の意味は「助言を与えること」「相談」です。しかし、心理カウンセリングの役割は、助言を与えるというよりも、相談者がみずからの力で立ち直るための機会を見いだしたり、心情や思考の整理を手助けしたりすることだといえるでしょう。

カウンセリングの目的

カウンセリングの目的は、大きく分けて2つあります。

1つは、心と環境が適応せず、心の病気やストレス状態に陥っているときに、カウンセリングを通じて、病気の回復やストレスの緩和を目指すことです。カウンセラーは、傾聴の中で相談者の悩みや不安を受け止め、必要に応じて助言を加えながら、不適応の原因となる問題を解決するためのサポートをします。

もう1つは、日常生活には問題がなく社会適応はできているけれど、自分の願う生き方ができていないときに、カウンセリングを通じて、自分らしい生き方を模索していくことです。相談者がカウンセラーとの対話から新たな気づきを得て、行動を変えるきっかけを作ることもあります。

カウンセリングと心理療法の違い

カウンセリングと心理療法はどちらも相談者の心理支援を行うものですが、異なる意味で使われることもあります。カウンセリングは、専門家が相談者の話に耳を傾けて受容しながら、相談者が自発的に問題を解決できるようサポートするものです。

一方、心理療法には、認知行動療法や精神分析的心理療法といったさまざまな技法があり、より専門性の高いカウンセリングを指すことがあります。基本は傾聴と対話によって行われますが、相談者自身の行動や人間関係を振り返ってもらい、それらの軌道修正を図ることによって問題解決や症状改善を目指します。

いずれも心理学的なアプローチによって心理支援を行うことに変わりはなく、初めてのカウンセリングで言葉の意味に迷うことがあっても、カウンセラーを探すときにはどちらも同じと考えて問題ありません。

<編集部より>

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カウンセリングはどんなときに受ける?

カウンセリングに「うつ病などの精神疾患がないと受けられない」「ショックな出来事に遭遇してふさぎ込んでいるなど、何かしら心に問題がある人が受けるもの」といったイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。

しかし、海外ではさまざまなケースでカウンセリングが利用されており、カップルや友達同士でケンカをしたとき、仕事や子育てがうまくいかないときなど、日常的によくある悩みで活用されています。

もちろん、日本でもカウンセリングは誰もが自由に受けられます。ちょっとした悩みで専門家のカウンセリングを受けることにためらいを感じる方は多いかもしれませんが、誰かに話を聞いてもらいたい、イライラして眠れない、気持ちが落ち着かない、思考を整理したいといったときにこそ、カウンセリングが有効です。

ストレス社会といわれる現代では、適度に悩みを吐き出すことが問題解決の糸口となり、うつ病などの重大な疾患を防いでくれるかもしれません。

カウンセリングの効果

カウンセリングは、明確な答えや具体的なアドバイスをもらえるものではありませんが、行動や生き方の指針を得られるといった効果が期待できます。相談内容にもよりますが、カウンセリングで得られる効果について以下より見ていきましょう。

話をしっかり聞いてもらえ、心が軽くなる

カウンセリングの効果として、心が軽くなるという点が挙げられます。カウンセラーは自分のためだけに時間を取ってくれるので、「話をしっかり聞いてもらえた」という実感が得られ、すっきりした気分になれるでしょう。家族や友人には言えなくても、カウンセラーであれば打ち明けられる方もいるはずです。

自分の考え方の癖や長所に気づける

カウンセリングによって、自分の考え方の癖や長所に気づくことができます。カウンセラーと対話を続けていると、自分の考え方の癖や行動パターンが見えてくるだけでなく、自分の思いもよらなかった長所に気づくことができるのです。カウンセリングを重ねるうちに気持ちも前向きになって、より良い方向に進もうという意欲もわいてくるでしょう。

問題を理解し整理できる

自分自身の問題を理解して整理できることも、カウンセリングの効果の1つです。カウンセラーに自分の思いを伝えることで、自分の状況や考えを客観的に理解でき、その結果、問題の根本的な原因を整理できるようになります。

問題を理解するためにはカウンセラーと対話しながら、いっしょに考えていくことが大切です。

対人関係を円滑にする方法を見つけられる

カウンセリングを受けることで、対人関係を円滑にする方法を見つけられます。配偶者や家族のほか、恋人、友人、同僚などに対する悩みもカウンセリングの対象です。カウンセリングを通して自分の言動を客観的に振り返り、自分の考え方や行動を変えて、対人関係を円滑にすることも可能になります。

自己肯定感が高まり成長できる

自己肯定感を高められることも、カウンセリングの効果といえるでしょう。カウンセリングを受ける中で、怒りや悲しみといった負の感情をさらけ出し、受け止めてもらうことも可能です。そうすれば心が落ち着き、「自分は尊重してもらえる存在である」という自己肯定感にもつながります。

また、悩みや困難を乗り越えたことで、自分の成長も実感できるようになるはずです。

自分でストレスケアができるようになる

カウンセリングを受けることの効果に、ストレスへの対処法が身に付き、現在のストレスはもちろん、未来のストレスもケアできることがあります。カウンセラーとの対話によって、自分にとってどのような問題がストレス源となっているかに気づくでしょう。その上で日常生活を見直し、ストレスを緩和する方法、予防する方法について学び、自分なりのストレスへの対処法を見つけたり、身に付けたりすることができます。

アンガーマネジメントが身に付く

カウンセリングを受けることによって、怒りをコントロールする「アンガーマネジメント」を身に付けることができます。いわゆる「6秒ルール」などのアンガーマネジメントでは抑えられない強い怒りは、過去の傷付き体験などが関係していることがあり、専門家に相談することが有効です。

症状や困難の緩和と回復

カウンセリングには、心の病気によって表れる症状や困難な状態を緩和し、回復に向かわせる効果があります。カウンセラーという味方を得て、また自己理解を通じて不安を減らし、適応障害や不安障害、依存症、心身症、自傷や摂食障害、トラウマといった困難に持ちこたえ、対処できるようになります。

トラウマをケアする

カウンセリングの効果の1つが、トラウマケアです。事故や災害によるトラウマだけでなく、親子関係、いじめ、ハラスメントなど人間関係によるトラウマによって、日常生活に影響を及ぼすことがあります。カウンセリングはトラウマをケアし、つらさの緩和や回復を図ります。

繰り返しになりますが、カウンセリングで得られる効果は相談内容によって異なるものです。それでも、カウンセリングを受けることで、悩みの解決や行動や生き方の指針を得られるといった効果が期待できます。

<編集部より>

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カウンセリングの受け方

カウンセリングには、対面やオンライン、電話など、さまざまな形態の受け方があります。対面カウンセリングではカウンセラーと相談者が直接会って対話を行うため、お互いの雰囲気や表情、仕草といった非言語コミュニケーションからも人間関係を築くことができるといわれています。

一方、オンラインや電話でのカウンセリングは、事情があって外出が難しい場合でも、場所や時間を選ばずに受けることが可能です。匿名性を高められるため、人に話しづらい悩みを相談することもできるかもしれません。

カウンセリングの受け方の種類には、形態の違いのほかに、カウンセラーと1対1で行う個人カウンセリング、夫婦で受けるカップルカウンセリング、複数人で受けるグループカウンセリングなど、受ける人数による違いもあります。

カウンセリングの流れ

「カウンセリングを受けたい」と思ったら、まずはカウンセリングを受けられる施設やカウンセラーを探し、予約を入れましょう。予約した日時に指定の方法(対面、オンライン、電話等)でカウンセリングを受けます。

カウンセリングの時間は限られているため、相談したいことや言いたいことはあらかじめメモをして整理しておくのがおすすめです。

カウンセリングの回数は相談者の心の状態や相談内容によって異なり、1度で終わることもあれば何度も実施することもあります。カウンセリングを複数回継続する場合は、カウンセラーと相談者がお互いに信頼関係を築きながら対話を深め、段階を踏んで問題の解決を目指していきます。

カウンセリングを受ける際の注意点

限られた時間やお金を使ってカウンセリングを受けるのであれば、その効果を最大限に高めたいもの。ここでは、カウンセリングを受ける際の注意点を紹介します。

カウンセラーの資格、専門性、実績を確認する

カウンセリングを受ける際には、カウンセラーが資格や高度な専門性を持っているか、カウンセリングの実績が豊富かどうかを確認しましょう。カウンセリングが功を奏するかどうかは相性によるところも大きく、カウンセラーが信頼できる人物かどうかを見極めることが大切です。

カウンセラーの資格は医師免許のように統一されていないため、国家資格である公認心理師のほか、指定大学院または専門職大学院を修了し、資格試験に合格した臨床心理士といった専門性の高い資格を持っていることが目安となります。

過去の実績は安心して話ができる相手かどうかを判断する材料にもなるため、カウンセラーがカウンセリングを行ってきた年数や実績などがわかれば確認しましょう。

効果が出るには時間がかかることを理解する

カウンセリングを受ける際には、カウンセリングの効果を感じるまでにある程度の時間がかかることを理解しておく必要があります。

カウンセリングは相談者の気づきや内面の変化によって行動を変えたときに、初めてその効果を発揮するものだからです。効果がないと感じるときは、その点も正直にカウンセラーに相談することで、さらに対話が深まるきっかけとなるかもしれません。

病院で治療を優先したほうがいい場合もある

カウンセリングを受けるより、病院での治療を優先したほうがいい場合があることには注意が必要です。

カウンセリングは、対話によって自分自身についての理解を深めていく作業でもあるため、うつ状態だと悪い方向に考えすぎてしまう可能性があります。

また、カウンセリングでは、心より体の治療を優先するのが前提です。カウンセラーによって治療が必要であると判断された場合、精神科や心療内科などの受診をすすめられることがあります。すでに受診中でカウンセリングを受けたい場合は、主治医の許可を得ることが必要です。

カウンセリングの費用に保険は適用される?

一般的なカウンセリングは医療行為とはみなされないため、保険が適用されません。ただし、医療機関で診断を受け、治療の一環として医師によるカウンセリングが行われた場合は保険が適用されます。医療機関で行われるカウンセリングでも、治療の一環としてではなく、人間関係や仕事のトラブル、気分の落ち込みなどを相談するカウンセリングについては全額自己負担(自費診療)となります。

また、民間で行っているカウンセラーによるカウンセリングについても保険は適用されません。費用は1回(50分)あたり5,000~2万円と、施設やカウンセラーによって幅があります。そのため、カウンセリングを受ける施設やカウンセラーを探す際には、相談日時、相談方法などのほかに、予算を決めておくのがおすすめです。

時間は短くなりますが、初回相談を無料で受け付けているところもありますので、カウンセラーとの相性が心配な場合は利用してみるといいかもしれません。

カウンセリングはどこで受けられる?

カウンセリングは医療機関をはじめ、地域にある保健センター、企業・団体など、さまざまな場所で受けられます。費用面も考慮しながら、自分の話しやすい場所を探しましょう。

医療機関のカウンセリング

医療機関では、主に精神科や心療内科でカウンセリングが受けられます。医師の診断のもと、薬物療法に加えてカウンセリングによる心理療法を行うこともあります。

心理療法では、考え方の癖に気づき、行動パターンを軌道修正することが目標です。同じ問題が起こっても病状が悪化しないよう、根本的な問題解決が図られます。

公共機関の相談窓口

公共の相談窓口でもカウンセリングを受けることが可能です。時間や対象年齢など多少の制約はありますが、厚生労働省では相談内容に応じた相談窓口が紹介されています。

また、地方自治体に設置されている保健所や保健センターのほか、都道府県や政令指定都市に設置されている精神保健福祉センターなどでもカウンセリングが受けられます。

民間企業・団体のカウンセリングサービス

民間企業や団体が提供しているカウンセリングサービスを利用することもできます。公認心理師や臨床心理士といった有資格者が対応していることが多く、サービスの形はさまざまです。多数登録しているカウンセラーの中から、相談内容に合ったカウンセラーを選べるオンラインサービスもあります。前述のとおり、民間企業・団体のカウンセリングサービスでは、1回ごとに費用がかかるのが一般的です。

企業に設置されたカウンセリング室

企業に設置されたカウンセリング室でも、カウンセリングを受けられます。現在では、従業員のメンタルヘルス対策のため、カウンセリング室を設置している企業が少なくありません。

外部委託している社外カウンセラーに定期的に来社してもらい、カウンセリングを希望する従業員をカウンセラーにつなぐといった対応をとっています。

企業の福利厚生、健康保険組合の保健事業

カウンセリングは、企業の福利厚生や健康保険組合の保健事業の一環として受けられることもあります。

近年では、従業員の健康保持・増進への投資を通じて企業価値の向上を目指す、「健康経営(R)」に力を入れる企業や健康保険組合が増えてきました。その取り組みの1つとして、従業員や組合員の病気の治療、メンタルヘルスケアを目的としたカウンセリングサービスが導入されているのです。

民間保険や商品の付帯サービス

医療保険などの民間保険や金融商品に、カウンセリングサービスが付帯されていることがあります。民間企業や団体でも有資格者によるカウンセリングを受けられることはありますが、1回あたり5,000~2万円前後の料金がかかるところがほとんどです。対して、民間保険や商品の付帯サービスで受けられるカウンセリングは、無料で実施されていることもあります。

メンタルヘルス不調者の早期発見と治療開始の促進をサポートするティーペックの『メンタルヘルス カウンセリングサービス』では、公認心理師や臨床心理士等の有資格者によるカウンセリングを実施しています。

カウンセリングは、電話やウェブ、オンライン面談、対面で受けることが可能です。ティーペックのカウンセリングサービス』を導入している企業・団体の従業員であれば、無料で利用することができます。また、医療保険など、ティーペックのカウンセリングサービスが付帯されている民間保険や商品を契約している方も無料でカウンセリングを受けられます。(※一部のサービスは、利用状況により費用が発生する場合があります)

ティーペックの『メンタルヘルス カウンセリングサービス』についてはこちらをご覧ください。

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一人で悩まず、気軽にカウンセリングを受けてみよう

カウンセリングというと少しハードルが高いように感じるかもしれませんが、気分が沈んだりモヤモヤしたりするときには気軽にカウンセリングを受けてみましょう。

人間関係や仕事、生き方、過去の出来事など、悩みは誰しもが抱えているもの。それらをカウンセラーに相談することで、今まで気づかなかった考え方の癖や行動パターンに気づき、心が軽くなったり、問題解決につながったりするかもしれません。

監修者プロフィール

吉田美智子(よしだみちこ)

臨床心理士・公認心理師、元スクールカウンセラー。
東京・青山の心理カウンセリングルーム【はこにわサロン東京】主宰。
「自分らしく生きる」を応援。相談内容は、愛着障害、アダルトチルドレン、アンガーマネジメント、解離性障害、グリーフケア、社交不安、身体表現性障害、摂食障害、適応障害、トラウマ・複雑性トラウマ、発達障害、ひきこもり、不登校、無気力、抑うつなど。カウンセリングは対面、電話、オンラインで。

参考

※当記事は、2024年8月に作成されたものです。
※医師の診断や治療法については、各々の疾患・症状やその時の最新の治療法によって異なります。当記事がすべてのケースにおいて当てはまるわけではありません。
※「健康経営(R)」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。

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