心身の健康を高める

ホワイト500(健康経営優良法人認定制度)とは?

公開日:2024.04.26

従業員の健康維持・増進は企業の競争力強化につながることから、経済産業省は「健康経営」という経営手法を提唱しています。経済産業省は、日本健康会議と協同で「健康経営」の実践法を広めるとともに、2016年に優良な健康経営を行っている大企業、中小企業等の法人を顕彰する制度(健康経営優良法人認定制度)を創設して、健康経営の普及に努めています。「ホワイト500」は、この健康経営優良法人認定制度で顕彰を受けた企業のうち、大規模法人部門の上位500社に与えられる称号です。「ホワイト500」は、働きやすい企業の一つの目安と言える肩書きなので、その概要や認定条件について知っておきましょう。

まずは「健康経営」について知りたい方は、「健康経営とは?背景や従業員のメリットを解説」をご覧ください。

1.健康経営優良法人認定制度とは?

健康経営優良法人認定制度とは、経済産業省が企業の健康経営の取り組みを促進するために2016年に創設した評価制度です。

地域の健康課題に即した取り組みや、日本健康会議*が進める健康増進の取り組みなどをもとに、健康経営に熱心に取り組んでいる法人の認定を行っています。優良な法人を顕彰してアピールすることで、社会的評価を得ることができる環境整備を目標としています。


*日本健康会議は、「国民一人ひとりの健康寿命延伸と適正な医療について、民間組織が連携し行政の全面的な支援のもと実効的な活動を行うために組織された活動体です。」(※)健康経営優良法人について、定められた評価基準に基づいて審査し、認定する役割を担っています。


(※)出典:日本健康会議「日本健康会議について」

https://kenkokaigi.jp/about/

2.大企業は「ホワイト500」、中小企業は「ブライト500」

健康経営優良法人認定制度では、大規模法人・医療法人を対象とした「大規模法人部門」と、中小規模法人・医療法人を対象とした「中小規模法人部門」の2つの部門から、それぞれ「健康経営優良法人」を認定しています。

大規模法人部門の中で、特に優良な健康経営を実施している上位500法人が選ばれ、「ホワイト500」という称号が与えられます。中小規模法人部門の上位500法人には「ブライト500」という称号が与えられます。

3.認定が増え、注目される「健康経営優良法人」

経済産業省は今年3月11日に「健康経営優良法人2024」の認定法人を発表しました。認定を受けたのは大規模法人部門2,988法人、中小小規模法人16,733法人です。この2部門の上位500社に「ホワイト500」、「ブライト500」の称号が与えられます。

認定は2017年度に始まり、今年で8年目になりますが、認定件数は増えています。

「健康経営優良法人」に認定されると、従業員、関係企業や金融機関などから「従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる法人」として、社会的な評価を受けられます。また、「健康経営優良法人」ロゴマークの使用が可能となります。求職者に対しては、健康に配慮した働き方ができる企業であることがアピールでき、若手人材の確保に役立ちます。

4.健康経営優良法人(ホワイト500)の認定要件

健康経営優良法人(ホワイト500)に認定されるためには、経済産業省が定める以下の要件を満たす必要があります。要件について、見ていきましょう。


1.経営理念・方針

健康経営の方針などを社内外に公表したり、健康経営の普及に取り組んでいるか。

2.組織体制

健康経営を推進するための体制整備や産業医・保健師等の人材活用および保険者(健康保険組合など)との連携はできているか。

3.制度・施策実行

健康経営の実践に向けて、「従業員の健康診断の実施」や「受診勧奨の取り組み」等、適切に行っているか。

4.評価・改善

健康経営の実施についての効果検証はできているか。

5.法令遵守・リスクマネジメント

「労働基準法」や「労働安全衛生法」などの法令を遵守しているか。


「ホワイト500」の申請等について詳しく知りたい方は、「ACTION!健康経営(日本経済新聞社)」のサイトに詳細が掲載されているので、チェックしてください。

https://kenko-keiei.jp/

5.「ホワイト500」の対象となる法人の従業員数

「ホワイト500」の対象となる「大規模法人部門」の従業員数は、業種ごとに決められています。卸売業では101人以上、小売業では51人以上、サービス業では101人以上、製造業その他では301人以上の法人が対象です。

業種大規模法人部門 従業員数
卸売業101人以上
小売業51人以上
サービス業101人以上
製造業その他301人以上

6.健康経営のメリット

健康経営に取り組むと、企業、従業員、保険者(健康保険組合など)それぞれに以下のようなメリットがあります。


企業のメリット

・企業の健康経営の理念が全社に浸透します。

・従業員のモチベーションが上がります。

・従業員が健康になることで、労働生産性が向上します。

・企業の社会的な評価が高まります。


従業員のメリット

・自分自身の健康が増進します。

・健全で働きやすい職場環境が整います。

・職場が活性化し、生産性が向上します。

・仕事や生活にメリハリができ、ワークエンゲイジメントが高まります。


保険者(健康保険組合など)のメリット

・データヘルス計画の実効性が上がります。

・企業と連携して従業員の健康増進をめざす「コラボヘルス」の実効性が増します。

・健康な従業員が増えることで、保険運営が安定します。

7.「ホワイト500」の認定を受けるメリットは「社会的評価」の向上

企業にとって、「ホワイト500」の認定を受ける最大のメリットは、社会的な評価が得られ、企業イメージがアップすることです。

企業で働く人は誰もが、自分の実力を発揮して、生き生きと働くことを願っています。しかし、実際に働いてみるまでは、入社した企業が従業員の働き方についてどのような考え方を持っているのかを知るのは難しいのが現状です。そんな時、自分が入社しようとする企業が健康経営を推進する「健康経営優良法人」であること、さらにその中でも上位500社に位置する「ホワイト500」であることは、大きな安心材料になります。

企業からすれば、「ホワイト500」認定取得による企業イメージのアップによって、採用に対する応募者の増加や、優秀な人材採用の可能性が広がります。さらに、顧客等ステークホルダーからの賛同も期待できます。長い目で見れば、社会的評価を得たことで、企業の持続的な成長が期待できます。

8. 健康経営は経営者と従業員が一体となって取り組むもの

健康経営の実践には、経営者のリーダーシップが重要です。しかし、経営者が旗を振っても、従業員に積極的に取り組む姿勢がなければ、うまくいきません。経営者も従業員も健康経営のめざす方向とメリットを知って、「職場の働き方を改善しよう」「自分たちの健康を増進しよう」という意欲が必要といえます。企業で働く皆さんは、健康経営優良法人制度とは何か、「ホワイト500」とはどういうものかを知って、元気に生き生きと働ける職場環境をつくるための参考にしてください。



原稿・社会保険研究所Copyright

参考

※当記事は、2024年4月に作成されたものです。
※医師の診断や治療法については、各々の疾患・症状やその時の最新の治療法によって異なります。当記事がすべてのケースにおいて当てはまるわけではありません。
※「健康経営(R)」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。

メッセージを送る

いただいたコメントはつながるティーペック事務局に送信されます。 サイトに公開はされません。 コメントには返信できませんのでご了承ください。

他にもこんな記事があります。

気になるワードで記事を探す

おすすめタグで探す