こころが不安定になったら、手近な食材をクンクンとかいでみる。そんな手軽なストレス解消法をご紹介します。(以下、専門家監修による記事です)
目次
1.香りと感情には密接な関係が
ストレスで不安になりやすかったり、緊張が続いたり。そんな時は、食材の香りの力をかりる「フードアロマ」がおすすめ。特別な道具や費用も不要な、お手軽にできるストレス解消法です。
香りは、目で見る、耳で聞くといった他の五感の刺激と違い「大脳辺縁系」に直接届きます。
大脳辺縁系は、脳の中でも感情を司る部位。そのため香りと感情は密接に関係しており、香りには人の感情を変える力があるとされます。
アロマオイルのリラックス効果は知られていますが、食材にも脳をリラックスさせる香りを持つものがあります。それが「フードアロマ」です。
香りの効果はスピーディで、ほんの10秒程度、食材の香りをかぐだけでいいと言われています。
2.フードアロマがストレスに良い理由
フードアロマには、こんなメリットがあります。
1)一瞬で効く
鼻で感じる「香り」はダイレクトに脳に届き、喜怒哀楽、快・不快などの感情に結びつきます。そして、一瞬で負の感情を発散させるとも言われています。そのため、忙しい人にも便利です。
2)道具が不要
食材の香りをかぐだけなので、アロマオイルやディフューザーといった道具は不要です。家にある食材やスーパーで手に入る食材ですぐ始められます。
3)副作用がない
薬と違って、基本的に副作用がない点も◎。また、食べてストレスを解消したら太った、過食の習慣がついてしまった……というようなトラブルもないので、安心です。
3.おすすめの“食べ物アロマ”
香り高い食べ物の中から、ストレスや不安を解消するのに役立ち、かつ入手しやすいものをご紹介します。
●幸福感がわく「オレンジ」
オレンジに含まれる効果的な香り成分は「d-リモネン」など。鎮静作用があり、不安でモヤモヤした気分を落ち着けるのに有効。気持ちを明るく前向きにする香りと言われています。
●安心感に包まれる「ナツメグ」
ナツメグに含まれる香り成分は「α-ピネン」など。向精神作用があり、落ち込んだ気持ちを晴らしてくれます。食欲増進や整腸作用も期待できます。
●心の疲れがとれる「パクチー」
香り成分は「d-リロナール」など。神経を刺激し、疲れてふさいだ気持ちの立て直しに役立ちます。倦怠感が強い時にもスッキリして◎。
4.おすすめの“飲み物アロマ”
飲み物なら、職場や外出先でもかぎやすくて手軽。おすすめの飲み物を紹介します。
●脳からストレスを逃す「コーヒー」
コーヒーを飲むと目が冴えますが、香りにはリラックス効果が。なかでも効果的とわかったのが「グァテマラ」と「ブルーマウンテン」の香りです。これらの香りをかぐと、リラックスしたときに現れるα波が脳に多く出現することが、コーヒーの種類とα波量の比較実験において認められました。心が疲れた時にひとかぎして、ほっと一息ついてみてはいかがでしょうか。
●眠くならずリラックス「ほうじ茶」
2019年にリサーチ会社のネオマーケティングが実施した調査 によると、ほうじ茶の香りをかぐと「ストレス感がやわらぎ、心地よさが得られる」と感じる人が多いことがわかりました。特に、その年の新芽で作ったほうじ茶の一番茶には香り成分「ピラジン」が多く含まれているのでおすすめです。コーヒーが苦手な人は、ほうじ茶の香りでストレスをやわらげましょう。
5.フードアロマのかぎ方のコツ
強すぎる香りはかえってストレスになることがあるので、かすかな香りのほうがベターです。また、長時間同じ香りをかいでいると、嗅覚が慣れてしまい、効き目が低下することに。
香りの効果は一瞬で現れるので、短時間かぐだけで十分とされます。
また、目をつぶって視覚を遮断すると、脳のα波が増加するのでより効果的。ただし、目をつぶるとかぎにくい、落ち着かないという人は、無理に目をつぶる必要はありません。
香りの効果を上手に活用して、おだやかなこころを保ちましょう。
原稿:株式会社セントラルメディエンス コミュニケーションズCopyright
≪監修者プロフィール≫
古賀良彦
杏林大学名誉教授、医学博士
香りの抗ストレス効果などの研究を長年行っている。著書に『脳の疲れをとる本』他、多数。
朝澤恭子
東京医療保健大学准教授、看護学博士
産褥期のアロマトリートメントの効果などの研究を行う。
※当記事は、2023年8月に作成されたものです。
※医師の診断や治療法については、各々の疾患・症状やその時の最新の治療法によって異なります。当記事がすべてのケースにおいて当てはまるわけではありません。
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