心身の健康を高める

呼吸筋強化で「脱・うつ気分」【医師監修】

深くゆっくりとした呼吸は、心身の安定をもたらし、うつ気分を抜け出す効果が。そのために必要なのが、呼吸筋を鍛えることです。そこで1日5分でできる、効果的な呼吸筋強化法をご紹介します。(以下、医師監修による記事です)

1.呼吸機能は30代から衰えていく

24時間365日、一生続く呼吸。しかし、加齢やストレスによって、呼吸の効率は落ちていきます。呼吸機能は30代から徐々に衰えていくのです。

呼吸は肺の収縮によって行われますが、肺自体が自分でふくらんだり、縮んだりすることはできません。その役目を果たしているのが「呼吸筋」です。
呼吸筋は「助間筋」を中心とした肺を動かす筋肉の総称で、胸郭全体を取り囲むようにあります。

加齢とともに呼吸筋が衰えて筋肉が硬くなると、肺に残る空気の量が増え、新たな空気を取り込みにくくなります。すると換気効率が落ち、浅く速い呼吸に。これが心身の不調にもつながっていくのです。

2.深くゆっくりした呼吸がこころを整える

近年の研究で、呼吸と感情は表裏一体であることがわかってきました。
強い不安やストレスがあると呼吸が浅くなる一方、深くゆっくりとした呼吸をすると心身が安定するようになっていきます。つまり普段の呼吸が深くゆっくりできれば、無意識にこころも落ち着いてくるということです。
呼吸筋を鍛えて“呼吸力”を上げれば、自然と安定した呼吸になっていきます。そうすると、こころが落ち着き、うつ気分から抜け出せるようになります。

こころを整えるため、呼吸筋トレを行いましょう。

3.呼吸筋を強化する「胸式ハグ呼吸」

胸式ハグ呼吸を行う女性

1日5分ほどでできる呼吸筋トレ「胸式ハグ呼吸」で、呼吸筋を鍛え、心身の安定を取り戻しましょう。

●吸うトレ

1)胸の前で両手を組みます。鼻から息をゆっくり吸いながら、背中を丸め、腕を前に伸ばしていきます。胸の前にボールを抱えるイメージで、からだも腕も丸く伸ばします。
2)口からゆっくりと息を吐きながら、元の姿勢に戻します。1、2を3回くり返します。

●吐くトレ

1)腰の後ろで両手を軽く組み、リラックス。鼻からゆっくりと息を吸います。
2)口からゆっくり息を吐きつつ、胸を張るように両腕を下へ伸ばします。息を吐き切ったら1の姿勢に戻ります。1、2を3回くり返します。


これを作業の合間や寝る前などに、1日トータル5分ほど行いましょう。呼吸筋を鍛える効果はもちろん、この呼吸を行うだけで、こころが落ち着いていきますよ。


原稿:株式会社セントラルメディエンス コミュニケーションズCopyright

≪監修者プロフィール≫

本間生夫 医師

昭和大学名誉教授、医学博士、NPO法人「安らぎ呼吸プロジェクト」理事長
専門は呼吸神経生理学。呼吸筋を鍛える「シクソトロピーストレッチ」の普及にも力を入れている。著書に『すべての不調は呼吸が原因』他。

※当記事は、2023年8月に作成されたものです。
※医師の診断や治療法については、各々の疾患・症状やその時の最新の治療法によって異なります。当記事がすべてのケースにおいて当てはまるわけではありません。

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