全身の老化やさまざまな不調の元となるのが、毛細血管の「ゴースト化」。毛細血管を鍛える「手足グーパー」運動を毎日の生活に取り入れて、血管を若返らせましょう。(以下、医師監修による記事です)
目次
1.毛細血管の衰えが老化の原因に
毛細血管が細くなり、崩れて、やがては幽霊のように消えてしまう…。こんな恐ろしいことが、身体の中で起こっているかもしれません。こんなふうに衰えて消えていく血管を「ゴースト血管」と言います。
原因のひとつは加齢ですが、睡眠や運動不足、栄養の偏りなどでも起こるため、20~30代でもゴースト血管は増えています。
全身の血管の約99パーセントを占める毛細血管は、体のすみずみまで酸素や栄養を届ける重要な存在。その毛細血管がゴースト化することで、酸素や栄養が行き渡らないだけでなく、老廃物も溜まりやすくなります。
その結果、冷えやむくみ、肌の老化など、さまざまな不調につながるのです。
さらに近年はゴースト血管と骨粗しょう症や認知症が関連するという指摘も。
ゴースト血管になると、骨の作り換えに必要な栄養素が全身に行き渡らず、骨代謝のバランスが崩れて骨密度が低下。またゴースト血管で脳の血流が悪くなっている人は、軽度認知症のリスクが倍増するともいわれています。
毛細血管の老化は、まさに全身の老化に直結しているのです。
2.あなたの血管のゴースト度をチェック!
毛細血管は外からパッと見ることはできません。しかし、ゴースト化をチェックできる簡単なやり方があります。
●手先の毛細血管の流れを調べる方法
まずは、手の爪の色から毛細血管のゴースト化レベルをチェックする方法をご紹介します。医療現場でも用いられている検査方法で、簡単に自分の毛細血管の状態がわかります。
- 人差し指の爪を反対の手の親指と人差し指でギュッとつまみます。
- 5秒つまんだら、パッと離します。
- 離した瞬間の爪は白っぽい状態になっているので、爪の色戻りをチェックします。
〈判定〉
2~3秒で赤みが戻れば大丈夫です。それ以上かかるようならゴースト化の可能性があります。
●生活習慣からゴースト化を判定する
日常の習慣や状況から毛細血管のゴースト化の可能性を判断する方法もあります。下の項目で当てはまるものをチェックしてみてください。
□最近太った、または以前から太り気味
□外食が多い
□野菜はあまり食べない
□油っぽいものや、こってりした料理が好き
□お酒が好きで、ほぼ毎日飲む
□喫煙習慣がある
□あまり歩かない
□高血圧の傾向がある
□血糖値が高い
□LDL(悪玉コレステロール値)が高い
□寝不足気味で朝スッキリと起きられない
□イライラすることが多い
□責任感が人一倍強いほうだ
□シミ、しわ、たるみ、くすみ、ほうれい線が目立つようになった
□最近、薄毛や白髪が目立つようになった
□爪が白っぽく、薄く欠けやすくなった
〈判定〉
5個以上は危険信号です。とくに喫煙習慣や高血圧、血糖値、悪玉コレステロールなどの項目に多くチェックがついた人は注意しましょう。
チェックした結果、ゴースト血管になっていたとしても、あきらめなくて大丈夫です。
日々の小さなケアで血流を良くすれば、何歳からでも弱った血管を再生させることはできるのです。
また、いまは問題なさそうでも、加齢によりゴースト血管は増えてくるので、予防していきましょう。
3.「手足グーパー」で血管を若返らせよう
ゴースト血管の予防・改善に効果的なのが、寝たままでもできる「手足のグーパー」運動です。
この運動は血流を促すことで弱った血管の再生に働きます。
また、横たわった状態で行うことで手足と心臓が同じ高さになるため、血管に負担をかけることなく血液を心臓へ戻し、めぐりの改善にも役立つのです。
●手足グーパーのやり方
- ベッドやマットなどに仰向けになります。ひじを床につけたまま、両腕を90度の角度になるように持ち上げます。
- 両手のひらをパッと開き、指先まで目いっぱい広げます。
- 次に親指をこぶしの内側に入れてギュッと強く握り込み、開く・閉じるを10回繰り返します。
- 足はまっすぐに伸ばします。両足首を曲げて起こし、同時に足の指をパッと目いっぱい開きます。
- 足の指をグーにするように強く握って、前方へ倒します。この動作を交互に10回繰り返します。
手足を一緒にやっても、別々にやってもOKです。
寝る前に必ず行うなど毎日の習慣にして、毛細血管のゴースト化を防いでいきましょう。
原稿:株式会社セントラルメディエンス コミュニケーションズCopyright
≪監修者プロフィール≫
伊賀瀬道也 医師
愛媛大学大学院医学系研究科抗加齢医学(新田ゼラチン)講座教授、愛媛大学医学部付属病院抗加齢・予防医療センター長
抗加齢ドックのデータを用いて寝たきり予防や脳卒中予防に関する研究などを行っている。
※当記事は、2023年8月に作成されたものです。
※医師の診断や治療法については、各々の疾患・症状やその時の最新の治療法によって異なります。当記事がすべてのケースにおいて当てはまるわけではありません。
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