気になる症状と病気

貧血によくある症状と対策ポイント

ダイエットをはりきって始めてみたものの、「なんだか疲れやすくなった」「めまいがする」「肌が荒れた」などの不調が現れた経験のある人はいませんか。もしかしたら、それは鉄分が不足したことによる貧血の仕業かもしれません。たかが貧血と放置していると、症状が進行し、日常生活に支障を来してしまうこともあります。そこで今回は、貧血によくある症状と簡単にできる対策ポイントを紹介していきます。

1.貧血とは


貧血とは、赤血球に含まれるヘモグロビンというたんぱく質が不足した状態を指します。ヘモグロビンは、血液の中で酸素を全身に送る働きがあり、主に鉄分によって構成されています。そのため、鉄分が不足するとヘモグロビンも減少し、全身に酸素が行きわたらなくなり、貧血の症状を引き起こします。


通常、血液検査にてヘモグロビン値が、成人女性で12g/dL未満、成人男性で13g/dL未満であれば、貧血と診断されます。ただし、血液検査では貧血と診断されなかった場合でも、体内の鉄分が不足している「隠れ貧血」と呼ばれる状態もあるため注意が必要です。隠れ貧血の場合は、血中のヘモグロビン値には異常が見当たらないものの、鉄分が不足している状態になっています。


隠れ貧血を見逃さないために、血液検査で可能ならフェリチン値もチェックしてもらいましょう。フェリチンとは、体内に鉄分を貯蔵する働きのあるたんぱく質で、フェリチン値は体内にどれだけ鉄分が貯蔵されているかをチェックするための指標となります。ヘモグロビン値に異常がなくても、男女ともにフェリチン値が25ng/mL未満なら隠れ貧血となります。


貧血は、生理のある年代の女性が発症しやすく、20代~40代の女性の約65%が「貧血」もしくは「隠れ貧血」の状態だといわれています。女性の場合は、毎月の生理による出血で体内から鉄分が失われるため、貧血を発症しやすくなるのです。生理の出血は貧血の原因の一つですが、それ以外にも、妊娠、出産、授乳といった時期には、鉄分の必要量が増加するため貧血になりやすくなります。生理1周期の出血量が150mL以上の場合は「過多月経」の可能性があり、子宮筋腫や子宮内膜症を発症しているサインであることがあります。そのため、生理の際に出血量が多い人は婦人科で医師の診察を受けましょう。


一方で、生理のある女性は多くの鉄分が必要になるのにもかかわらず、鉄分の摂取量が不足しているケースが多くなっています。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準2025年版」では、18歳~29歳の女性は1日10.0㎎、30歳~49歳、および50歳~64歳の女性は10.5㎎の鉄分を食事から摂取することが推奨されていますが、実際には摂取基準の6割程度しか取れていないのが現状です。十分な量の鉄分を摂取するためには、正しい食習慣が不可欠です。無理なダイエットや偏食、朝食を食べないなどの不健康な食生活を続けていると、体に必要な量の鉄分を取ることができず、貧血を発症しやすくなります。


また、貧血は閉経後の女性や男性でも発症することがあります。生理のない人の貧血は、胃腸の潰瘍、がん、血液疾患などの重大な病気が原因となっていることがあります。貧血の症状がある場合は、放置せずまずは専門家に相談したり、内科を受診したりしましょう。

2.鉄分不足による貧血によくある症状


貧血の症状は、ゆっくりと慢性的に進行するため、自分が貧血であることに気付かないケースも少なくありません。しかし、貧血を放置していると、さまざまな症状で生活の質が低下するだけでなく、うつ病などのメンタルの不調につながるリスクも高くなることが分かっています。

よくある症状

鉄分不足により引き起こされる貧血は、心身のさまざまな不調の原因となります。以下の症状に当てはまる人は、貧血の可能性があるため注意が必要です。


・体に現れる症状

筋肉に酸素を供給したり貯蔵したりする働きがある、ミオグロビンという物質の生成が妨げられます。それにより、疲れやすい、朝起きるのがつらい、息切れ、冷え性、めまい、足のむくみ、といった症状が現れます。


・心に現れる症状

精神面を安定させたりやる気のもとになる働きをする、セロトニンやドーパミン、ノルアドレナリンなどの神経伝達物質がつくられにくくなります。それにより、イライラする、やる気が出ない、気分が落ち込む、といった心の不調を引き起こします。


・見た目に現れる症状

肌の調子を整えるコラーゲンが減少します。それにより、シミやシワなどの肌のトラブルや抜け毛が増える場合があります。また、酸素が体全体へ行きわたらなくなることで、顔色が悪くなります。


・行動に現れる症状

季節に関係なく氷をガリガリとかみ砕いて食べ続ける「氷食症」が現れることがあります。氷を食べることができないと、不安・イライラ・焦りなどを感じます。1日に製氷皿1皿以上の氷を食べてしまうという場合は、氷食症の可能性があります。

3.貧血対策のポイント


貧血対策のためには、まず主食・主菜・副菜のそろった食事を、1日3食規則正しく取ることが大切です。その上で、鉄分をはじめとした貧血予防につながる栄養素をしっかり取っていきましょう。


食事から吸収された鉄分は、ヘモグロビンの材料となるだけでなく、体内に貯蔵されて鉄分が不足した際の備えになります。反対に、緑茶やコーヒー、紅茶などに含まれる渋みのもとであるタンニンという物質は、過剰に摂取すると鉄分の吸収を妨げてしまいます。そのため、タンニンが含まれる飲み物をたくさん飲むことは控えましょう。水分補給には、水や白湯、麦茶、ほうじ茶などが適しています。


貧血の予防につながる栄養素

栄養素名多く含まれる食品
鉄分<ヘム鉄>
・肉類(レバー、赤身)
・魚類(いわし、まぐろ、かつお)
・貝類(あさり、しじみ)

<非ヘム鉄>
・大豆食品
・海藻類
・青菜野菜(ほうれんそう、こまつな)
・ごま
・ナッツ類
たんぱく質・肉類
・魚類
・卵
・乳製品
・大豆製品
ビタミンC・果物類
・野菜類(こまつな、ほうれんそう、しゅんぎく)
ビタミンB群(B₁₂、B₆、葉酸)・海藻類(ひじき、わかめ)
・納豆
・モロヘイヤ
・レバー

・鉄分

鉄分はヘモグロビンをつくるのに欠かせない栄養素です。鉄分には、レバーや赤身の肉類、いわしやまぐろ、かつおなどの魚類、あさりやしじみなどの貝類に多く含まれているヘム鉄と、大豆食品や海藻類、ほうれんそうやこまつななどの青菜野菜、ごま、ナッツ類に多く含まれている非ヘム鉄があります。


ヘム鉄は非ヘム鉄の5倍~10倍吸収率が良いとされていますが、ヘム鉄を含む食品ばかり食べていると栄養バランスが偏ってしまいます。そのため、ヘム鉄と非ヘム鉄が含まれた食品をそれぞれバランスよく食べることが大切です。

・たんぱく質

良質なたんぱく質はヘモグロビンの材料になるとともに、鉄分の吸収率を向上させる働きがあります。肉類、魚類、卵、乳製品、大豆製品に多く含まれています。

・ビタミンC

ビタミンCは鉄分の吸収率を高めます。果物類や野菜類に多く含まれていますが、その中でも、こまつなやほうれんそう、しゅんぎくにはビタミンCだけでなく、鉄分も多く含まれているため、貧血予防にはお薦めの食品です。

・ビタミンB群(B₁₂、B₆、葉酸)

ビタミンB群には、ヘモグロビンの形成を助ける働きがあります。ひじきやわかめなどの海藻類や納豆、モロヘイヤ、レバーなどに多く含まれています。
 

4.まとめ

貧血予防のためには、鉄分をはじめとした栄養素をしっかりと取ることが第一歩です。日々の食事で自分がどのくらい鉄分を摂取できているかを意識しましょう。体内の鉄分をしっかりとキープして元気な毎日を過ごすために、栄養バランスの取れた食事を心掛けてください。


なお、貧血は、医療機関で処方される鉄剤を服用することでも症状が改善します。また、過多月経の症状のある人は子宮内膜症などの病気の可能性があるため、婦人科に相談することも大切です。今回紹介した貧血の症状に気付いたら、医療機関を受診したり、専門家に相談したりしましょう。


原稿・社会保険研究所Copyright

<編集部より>
貧血の症状があるときなどに、保健師や看護師などの有資格者に相談することができる「健康相談サービス」をご存じですか?詳しくはこちらをご覧ください。

参考

※当記事は、2026年2月に作成されたものです。
※医師の診断や治療法については、各々の疾患・症状やその時の最新の治療法によって異なります。当記事がすべてのケースにおいて当てはまるわけではありません。

メッセージを送る

いただいたコメントはつながるティーペック事務局に送信されます。 サイトに公開はされません。 コメントには返信できませんのでご了承ください。

他にもこんな記事があります。

気になるワードで記事を探す

おすすめタグで探す