気になる症状と病気

PMSによる生理前のイライラ|症状を抑える方法や対策【医師監修】

「生理前のイライラでつい人に当たってしまう」「PMSでイライラして集中できない」など、PMS(月経前症候群)による不調を抱え、少しでも改善したいと悩んでいる方も多いのではないでしょうか。イライラや気分の落ち込みなどはPMSでも現れやすい症状です。PMSには個人差があり、精神的な症状だけでなく、肌荒れや乳房の張りなどの身体的な症状が出ることもあります。本記事では、イライラなどのPMSによる症状を抑える方法や食事のポイントについて紹介します。悩んでいる方はぜひ参考にしてください。(以下、医師監修による記事です)

1.生理前にイライラするのはPMS(月経前症候群)が原因?

生理の前に感じるイライラは、PMS(月経前症候群)が原因の可能性があります。PMSは月経前に起こるさまざまな身体的・精神的不調のことです。人によって症状は異なりますが、怒りっぽくなったり、気持ちの浮き沈みが激しくなったりするのもPMSのよくある症状として挙げられます。

PMSは生理の3日〜10日程度前から症状が出て、月経が始まると数日で治まってくることが多いです。いつから症状が出ているか記録を付けるようにしておくと、疲れや風邪などによる不調と見分けやすくなります。

個人差はありますが、PMSの症状は年齢によって変化することもあります。たとえば、精神的な変化として20代は憂うつになりやすいのに対して、イライラの症状は30代以降に出やすい傾向にあります。

以下ではPMSの主な症状をまとめたセルフチェックリストや、イライラの対策を解説します。「生理前の不調がPMSによるものなのか分からない」という方はセルフチェックも役立ててください。

2.PMSの症状セルフチェックリスト

生理前、以下のような症状がいくつも当てはまる場合、PMSの可能性が考えられます。症状には個人差があるため、一概にはいえませんが、多岐にわたる症状が出る人もいれば、自覚していない人もいます。日常生活に支障が出るなら病院を受診することも考えましょう。

PMSのセルフチェックリスト

身体的な症状● いつもよりもだるさ(倦怠感)を感じる
● ニキビなどの肌荒れが起きる
● 乳房が張る
● 体重が増加する
● 甘いものが食べたくなる
● 食欲が出ない
● むくみやすくなる
● 火照りを感じる
● 日中に眠気を感じやすい
● 眠りが浅くなったり、寝つきが悪くなったりする
● 腰痛や肩こり、頭痛などの症状が出る
精神的な症状● イライラしたり、憂うつになったりと情緒が不安定になる
● 気分が落ち着かないことが多い
● 小さなことでも涙が出てくる
● 日中にぼーっとしてしまう
● 家族や他人に当たることが増える
● いつもなら気にならない些細なことが気になる

3.なぜPMSが起こるのか

PMSは、女性ホルモンの変化やその代謝物による影響だという説が有力ですが、明確な原因は判明していません。「ストレスを溜め込みやすい人」「完璧主義で、生真面目な性格な人」「社会的な不安を抱えている人」など、精神的負荷がかかりやすい人は症状が現れやすいと考えられています。


日々の生活習慣などを見直すことで、イライラなどの症状が和らぐケースもあります。「今すぐ病院に行くほど困っているわけではないが、不調に悩まされている」という場合は、まずは身近なところから生活習慣を改善してみると良いでしょう。

4.PMSによるイライラなどの症状を抑えるための3つの対策

PMSによるイライラなどの症状を抑えるための対策に、以下の3つがあります。

  • バランスの良い食事を心がける
  • 適度な有酸素運動を行う
  • PMSダイアリーをつける(記録する)

基本的には健康的な生活習慣を継続するよう意識し、中でも食事や運動に気をつけましょう。それぞれのポイントを解説します。

バランスの良い食事を心がける

暴飲暴食はPMSの症状を悪化させることがあります。生理前に不調を感じやすい人は、日頃からバランスの良い食事を心がけましょう。具体的に意識したい食事のポイントについては後述するのでそちらも参考にしてください。

適度な有酸素運動を行う

PMSの症状の緩和には、有酸素運動が有効であるという報告もあります。適度な運動は気分転換や生理前に悪くなりやすい代謝を促すことにもつながります。また、血行の悪化はホルモンバランスを崩す原因になりますが、有酸素運動は血行改善にも効果的です。


体調が悪いときに無理をする必要はありませんが、20分程度の強度の低い有酸素運動を生活に取り入れましょう。ウォーキングやジョギング、ヨガ、水泳などは比較的続けやすい有酸素運動です。

PMSダイアリーをつける(記録する)

自身のPMSの傾向を把握するには、症状を日記に書き込む「PMSダイアリー」も有効です。出やすい症状、症状が重くなる時期、因果関係がありそうな生活習慣などが分かっていれば対策はとりやすくなります。たとえば、「イライラしやすい時期に大切な用事を入れない」「寝不足のときに悪化しやすいので、生活リズムに注意する」などの対策が可能です。また、PMSの傾向を知ることで不安は軽減されますし、医療機関を受診する際にも役立つでしょう。

5.PMSのイライラを抑える食事のポイント

普段の食生活もPMSの症状に関係してきます。食事の際は次のポイントを意識してみてください。

  • 血糖値を急激に上昇させるような食べ物・食べ方に注意する
  • カフェインなどの刺激物を避ける
  • イライラを和らげるような栄養素を積極的に摂取する

PMSによるイライラなどの症状がある方は、以下のような食事の仕方や内容に注意しましょう。

血糖値を急激に上昇させるような食べ物・食べ方に注意する

血糖値の低下は、イライラしやすくなる一因です。急激に血糖値が上昇すると、それを下げるためのホルモンの分泌が増えて、結果的に血糖値が急降下します。そのため、ゆっくりと血糖値を上げるような食べ方を意識して、血糖値を急上昇させるような食べ物は控えましょう。

食べ方としては「空腹の時間を作らないように1日の食事を小分けにする」「しっかりと噛んで、ゆっくり食べる」「先に野菜を食べて、一定時間を空けてからご飯やおかずを食べる」などが挙げられます。また、ケーキやチョコレート、フルーツ、ジュースなどは血糖値を急上昇させるので注意が必要です。

カフェインなどの刺激物を避ける

刺激物はPMSの症状を悪化させることがあります。カフェインは神経を興奮させ、自律神経が乱れる原因になるので、過剰に摂取しないようにしましょう。カフェインはコーヒーや紅茶、緑茶だけでなく、エナジードリンクにも多く含まれています。


また、ハーブティーの中には、気持ちを落ち着かせる効果が期待できるものもあります。たとえば、カモミールにはリラックス効果があり、カフェインも含まれていません。ただし、ハーブティーの種類によっては副作用があるため、「服用中の薬がある方」や「妊娠中・授乳中の方」は特に注意してください。

イライラを和らげるような栄養素を積極的に摂取する

ビタミンB群やカルシウム、マグネシウムなどの栄養素は、不足するとイライラしやすくなったり、イライラしたときに多く消費されたりします。そのため、イライラしやすい時期は、これらの栄養素を積極的に摂取しましょう。

ビタミンB群は肉類や卵黄などに多く含まれていますし、卵類に含まれるビタミンDはカルシウムの吸収を助ける効果も期待できます。どうしても不足しがちな栄養素がある場合は、サプリメントで補うというのも有効です。

6.PMSでイライラするときのコミュニケーション

PMSでイライラしやすいときは、職場の同僚や家族、友人などの周囲の人とのコミュニケーションが上手くいかないこともあります。イライラしやすい時期を乗り切るためには、周りの理解も重要です。たとえば、症状が重くて余裕がない場合は、そのことを周囲に伝えておくというのも選択肢のひとつになります。

また、集中力のいる作業や他者とのコミュニケーションが多く求められる作業などを避けたり、スケジュールを調整したりすることも効果的です。PMSダイアリーを活用すれば、イライラなどの症状の出やすい時期を予測しやすいでしょう。不調が出やすい時期が分かっていると「一人の時間を意識的に作る」「仕事の量を減らす」「適度に家事をサボる」などの工夫もできます。

7.PMSによるイライラなどの症状がひどい場合はどうすれば良い?

PMSの症状には個人差がありますが、「イライラする」「気分が落ち込む」などの精神的な症状が顕著で、日常生活や社会生活に支障をきたしている場合はPMDD(月経前不快気分障害)という疾患の可能性もあります。

セルフケアで改善されないと感じたり、生活に影響が出ていたりする場合、また症状が重い方などは、必要に応じて医療機関の受診や市販薬・処方薬の服用なども検討してください。以下ではイライラなどの症状がひどい場合の対策について説明します。

市販薬を使う

PMSには市販薬もあり、ドラッグストアなどで購入可能です。また、生理前の諸症状に効く漢方薬も市販されています。薬剤師や登録販売者に相談のうえ、購入するようにしてください。

医療機関で相談する

生活に支障をきたしているようなケースでは、病院で医師に相談することをおすすめします。医療機関であればPMSやPMDDの診断を受けられ、専門医と相談しながら治療の方針を決めていけます。

PMSと似たような症状の疾患も存在するため、医療機関においては「月経周期と関係しているか?」「日常生活に支障をきたしているか?」などを基準にPMSの診断は行われます。薬物療法を希望しない場合は、経過観察しながら、カウンセリング・生活指導で症状の緩和を目指すという選択肢もあります。

8.PMSのイライラを抑えるにはセルフケアが重要|悩んだら専門家に相談を

「イライラする」「気分が落ち着かない」「倦怠感がある」などPMSの症状はさまざまで、程度には個人差もあります。PMSによる症状を抑えるためには食生活の見直しや適度な運動などが重要であり、症状の傾向を把握するという意味ではPMSダイアリーをつけるのも有効です。


セルフケアの基本はライフスタイルの改善なので、普段の食事や生活習慣を見直しましょう。一方、症状が改善されないケースや生活に支障が出ているケースは、医療機関で専門家に相談するようにしてください。イライラなどの症状が改善されれば、今よりも生理前の期間を楽に過ごせるでしょう。



<編集部より>

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<<監修者プロフィール>>

藤東クリニック 院長 藤東淳也

●科目
産婦人科

●所属学会・資格
日本産科婦人科学会専門医
医学博士
細胞診専門医
バイオインフォマティクス認定技術者
日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医
日本内視鏡外科学会技術認定医
婦人科腫瘍専門医
母体保護法指定医
新生児蘇生講習会専門コース修了

※当記事は、2025年4月に作成されたものです。
※医師の診断や治療法については、各々の疾患・症状やその時の最新の治療法によって異なります。当記事がすべてのケースにおいて当てはまるわけではありません。
※当記事内で紹介されているサービスに関して、当記事を監修した医師は一切関与しておらず、またサービスの監修もしていません。

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