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セカンドオピニオンのやり方とは?手順や注意点を解説【医師監修】

公開日:2024.07.29

病気になったとき、主治医の提示する診断や治療方法に疑問や不安を感じたり、別の医師の考えを聞いてみたいと思ったりしたことはないでしょうか。特に、がんなど治療方法の選択肢が複数あるような病気では、自分にとってどの治療方法がベストなのか判断がつかないこともあるでしょう。そんなときに利用できるのがセカンドオピニオンです。本記事では、セカンドオピニオンを受ける際のやり方や具体的な手順、注意点について解説します。(以下、医師監修による記事です)

セカンドオピニオンとは、主治医以外の医師に求める第2の意見のこと

セカンドオピニオンとは、主治医に提示された診断や治療方針、治療方法について、異なる医療機関の医師に求める「第2の意見」のことをいいます。別の医師の意見や考えを聞くことで、患者自身にとって納得のいく治療の選択ができることを目指すものです。セカンドオピニオンはあくまで主治医のもとで治療を受けることを前提としているものであり、担当医の変更や転院のために行うものではありません。また、理想の治療法を提案してくれる医師を求めてあちこちの医療機関を訪ね歩く、ドクターショッピングとも異なります。


セカンドオピニオンは健康保険の適用外なので自由診療となり、費用は全額自己負担となります。病院やクリニックによって費用は異なりますが、一般的なセカンドオピニオンの相談料金は数万円程度です。


<編集部より>
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セカンドオピニオンを受けるのはどんなとき?

セカンドオピニオンを受けてみようと思っても、主治医に遠慮してしまったり、どのくらいの病状なら受けて良いのか迷ったりすることがあるかもしれません。

一般的に、セカンドオピニオンを受けるきっかけとなるのは、下記のようなタイミングです。


<セカンドオピニオンを受けるタイミングの例>

・主治医の診断や治療方法についてほかの医師の意見を聞きたいとき

・主治医の説明や治療方針に納得のいかない部分があるとき

・複数の治療方法から1つを選ぶためのアドバイスがほしいとき

・ほかの治療方法がないか知りたいとき


通常は、病気の診断を受けて、治療を開始する前がセカンドオピニオンを受けるタイミングとなります。主治医が下した診断自体に納得できるかどうか、提示した治療方法が本当にベストな選択なのかどうかなど、病気の知識がなければ判断できないこともあります。

また、複数の治療方法がある場合は、自分に合ったものをいきなり選ぶのは難しいでしょう。選択肢になかった治療方法を、ほかの医師から聞くことができるかもしれません。


特に、進行性のがんや難病などだった場合、時間が限られた中で重要な判断を行うのは精神的にも負担がかかります。プロのアドバイスを受けるという感覚で、セカンドオピニオンを利用するのも有効です。

そのほかにも、長期治療中の病気について治療方法を検討したいとき、セカンドオピニオンを活用できます。

セカンドオピニオンはどのようながんで利用されることが多い?

セカンドオピニオンが実際にどのような病気で利用されることが多いのか、がんの場合を例に挙げて見てみましょう。

ティーペックでは、直近15年以内にがんと診断された方を対象にインターネット調査を行い、セカンドオピニオンを受けたかどうかを聞きました。下記は、その調査結果(がん種別)を示したグラフです。


■セカンドオピニオンを受けた患者のがんの種類

セカンドオピニオンを受けた患者のがんの種類のグラフ
出典:ティーペック株式会社 がん患者に関する調査(インターネット調査)(※1)

この調査からは、肝臓がん患者の割合が最も多く、47.6%と半数近くの方がセカンドオピニオンを利用していることがわかります。次いで、食道がん患者の割合も39.3%と4割程を占めています。その次に、胃がん、前立腺がん、すい臓がんと続いています。

セカンドオピニオンで受け付けていない相談に注意

セカンドオピニオンを受ける前に、相談できないことをあらかじめ押さえておきましょう。セカンドオピニオンでは、一般的に下記のような相談はできないことが多いので注意が必要です。


<セカンドオピニオンでは受け付けていない相談>

・主治医の了解を得ていない相談

・セカンドオピニオンを受ける医療機関への転院目的での相談

・医療ミスや医療訴訟についての相談

・医療費や医療給付についての相談

・亡くなった方を対象とした相談

・過去の診察に対する相談


セカンドオピニオンを受けるには、現在の主治医に紹介状や検査結果等の資料を用意してもらう必要があります。そのため、主治医の了解なく受けることは困難です。セカンドオピニオン後も主治医のもとで治療を受けることが前提となるので、基本的に転院目的の相談はできません。


医療費や医療給付については、各病院やソーシャルワーカー、加入している健康保険組合などに問い合わせましょう。なお、ほとんどの場合、亡くなった方に関する相談や前に受けた診察に関する相談も、セカンドオピニオンの対象外となります。

セカンドオピニオンを受けるメリット・デメリット

セカンドオピニオンを受けるメリットは、ほかの医療機関で別の観点から意見を聞くことで、結果的に主治医と同じ見解を示されたとしても、病気や治療方法への理解をより深められることです。また、治療方法が複数ある場合には選択肢の幅が広がり、より納得のいく治療を選んで受けることができます。


一方で、セカンドオピニオンは保険の適用外なので高い費用がかかる上、ほかの病院を探して受診する手間や時間がかかるのがデメリットです。ほかの病院を探して医師に話を聞きに行く分、治療開始までに期間が空くので、病状によってはその間に病気が進行し、かえって治療の選択肢が狭められてしまう可能性もあります。

セカンドオピニオンを利用するときには、メリットとデメリットの両面をよく検討することが必要です。


<編集部より>
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セカンドオピニオンを受ける手順

ここからは、実際にセカンドオピニオンを受けるにはどのようにしたら良いかをご紹介します。セカンドオピニオンを受けるための具体的な手順は、下記のとおりです。

1. 主治医の意見をよく理解する

セカンドオピニオンを受ける前に、まずは主治医の示した診断や治療方針について理解しましょう。最初の診断(ファーストオピニオン)を理解しないまま、ほかの医療機関でセカンドオピニオンを受けても混乱のもとになります。

主治医と自分の意見が異なる場合でも、インターネットや書籍の情報をうのみにせず、主治医の意見について疑問や不安があれば納得するまで話し合い、その上でセカンドオピニオンを受けたい旨を伝えることが大切です。

2. セカンドオピニオンを受ける病院を探す

次に、セカンドオピニオンを受ける病院・クリニックを探します。病院・クリニックが見つかったら、ウェブサイトなどでセカンドオピニオンについての情報を探し、受診方法、予約方法、費用、診察時間などの詳細や必要な書類、手続きを確認します。ウェブサイトのない病院・クリニックであれば、直接電話などで問い合わせましょう。

3. 主治医に紹介状を書いてもらう

セカンドオピニオンを受ける病院が見つかったら、主治医にセカンドオピニオンを受けることを伝え、紹介状(診療情報提供書)や検査データ(血液検査や病理検査等の記録、CT・MRI等の画像診断データ)を用意してもらいます。

セカンドオピニオンへの理解がある医師も多いですが、主治医に言い出しにくい場合は、がん相談支援センターや通院先の看護師などに相談するのもおすすめです。セカンドオピニオンを希望していることをどう伝えればいいか、どのような手順で進めればいいかなど、アドバイスをもらえます。

4. セカンドオピニオンを受ける

必要な書類の準備と、セカンドオピニオンを受ける病院・クリニックの予約ができたら、セカンドオピニオンを受けます。受診時間には限りがあるので、当日聞きたいことを事前に整理してまとめておくと効率良く話を進めることができます。

セカンドオピニオンを受ける際には、最も聞きたいことから優先的に聞くようにしましょう。また、当日は信頼できる人に同伴してもらうと、うまく話せないときにもサポートしてもらえますし、聞いた内容について冷静に判断することができます。

5. 結果を主治医に報告する

セカンドオピニオンで医師と話し合ったことを主治医に報告した上で、あらためてどのような方針で治療を行うか、主治医と検討します。セカンドオピニオンの結果を主治医に郵送等してくれる病院やクリニックもありますが、報告は自分の言葉で行うようにしましょう。

主治医との協議の結果、セカンドオピニオン先で治療を受けることになった場合は、主治医に紹介状を書いてもらう必要があります。

セカンドオピニオンを受ける際の注意点

セカンドオピニオンを有意義なものにするためには、注意したいポイントがあります。ここでは、4つの注意点をご紹介します。

ファーストオピニオンをしっかり理解する

セカンドオピニオンを受ける際には、ファーストオピニオン(=主治医の意見)を十分に理解した上で臨みましょう。セカンドオピニオンは、あくまで主治医の診断や治療方針、治療方法に対して行われるものです。最初の診断や治療方針に納得がいかない場合は、疑問点を整理した上で、まず主治医と話し合うことを優先してください。

話し合ったことを後から見返すためには、診察の際にメモを取ることもおすすめです。必要なら家族など、信頼できる人にも同席してもらい、いっしょに話を聞いて、家族からも質問をしてもらいます。漏れなく疑問点を解消するつもりで主治医と相談し、それでも悩む場合にセカンドオピニオンを検討します。

主治医に黙ってセカンドオピニオンを受けない

セカンドオピニオンを受ける際には、紹介状や検査データを主治医から提供してもらう必要があるため、主治医に内緒で受けられないことに注意が必要です。特に、がんなどの場合はセカンドオピニオンの利用が珍しいことではないため、主治医も協力的なことが多くあります。

なお、セカンドオピニオンを受けた後に主治医へ報告する際、治療方針や治療方法について理解を深めた上で、より詳しい説明を聞くことができれば、納得して治療に臨めます。

主治医以外の医療スタッフの意見も聞いてみる

セカンドオピニオンを受けるべきか迷うときは、主治医の意見だけに耳を傾けるのではなく、主治医以外の医療関係者に相談してみるのも1つの方法です。看護師、医療ソーシャルワーカー、病院の相談窓口、がん診療連携拠点病院の相談支援センターなど、相談できる場所は1つではありません。複数の医療関係者に意見を聞いてみることで、視野が広がることもあります。

ただし、病気の診断は医師にしか行えない医療行為なので、医療関係者はあくまで個人の意見を伝えてくれる立場であることに留意しましょう。

どの病院でどんな治療を受けるかは、最終的に自分で決断する

セカンドオピニオンを受ける際、最終的な判断は自分で行う必要があります。ファーストオピニオンとセカンドオピニオンで異なることを言われたら、さらに迷いが増えるかもしれません。その場合は、セカンドオピニオンを踏まえて主治医と納得がいくまで話し合うことが大切です。

医師と相談する時間は限られているため、治療方法を決められない理由や解消したい疑問は、あらかじめ整理しておくことをおすすめします。

セカンドオピニオンを受ける病院の探し方

セカンドオピニオンを受ける病院を探すには、いくつかの方法があります。情報が多い現代では、闇雲に探しても時間ばかりが経ってしまう可能性があります。ここでは、5つの方法をご紹介しますので、参考にしてみてください。

がん相談支援センターに相談する

セカンドオピニオンを受ける病院を探すには、がん診療連携拠点病院などに設置されているがん相談支援センター(※2)で相談する方法があります。

がん相談支援センターでは、看護師やソーシャルワーカーなどが相談に応じており、通院していない方でも無料・匿名で利用できます。治療前・治療中など、どのタイミングでも相談でき、状況整理や情報収集のサポートをしてもらうことも可能です。

主治医に紹介してもらう

セカンドオピニオンを受ける病院を探す際、主治医に紹介してもらう方法もあります。通院先が地域の基幹病院や大学病院と病診連携をしている場合は、そちらに紹介してもらえれば情報の連携もスムーズです。

また、別の治療方法を求めている場合、例えば主治医が外科医であれば内科医を紹介してもらうなどすれば、手術以外の治療方法を見つけることができるかもしれません。最終的には主治医に紹介状を書いてもらう必要があるため、セカンドオピニオンを検討している段階で、思い切って別の医師の紹介を相談してみるのもいいでしょう。

インターネットで検索する

セカンドオピニオンを受ける病院を探す際には、インターネット検索で地域の病院やクリニックのウェブサイトを調べる方法もあります。現在では、セカンドオピニオン外来を設置している病院も多くあるため、「セカンドオピニオン外来 地域名」で検索すると、候補を絞りやすいかもしれません。

また、がんの場合は、厚生労働省のウェブサイトに「がん診療連携拠点病院等」(※3)の一覧表があるので、そちらを参考にするのもおすすめです。

企業の福利厚生や健康保険組合の保健事業を利用する

セカンドオピニオンを受ける病院を探すには、勤務先の福利厚生や健康保険組合のサービスを利用する方法もあります。従業員や組合員の健康に投資する「健康経営(R)」に取り組む企業や健康保険組合が増えてきており、従業員が病気になっても安心して働き続けられるように、福利厚生の一環としてセカンドオピニオン関連サービスを導入しているところもあります。

ティーペックの『セカンドオピニオン手配サービス』も、福利厚生などで利用できるサービスの1つで、多くの企業や健康保険組合に導入されています。

民間保険の付帯サービスを利用する

医療保険やがん保険などの民間保険に、セカンドオピニオンを利用できるサービスが付帯されていることがあります。ティーペックの『セカンドオピニオン手配サービス』が付帯された民間保険もありますので、ご利用中の保険のサービス内容をチェックしてみてください。対象の保険の加入者であれば、サービスの利用が可能です。


ティーペックのセカンドオピニオン手配サービスでは、臨床経験を積んだ保健師や看護師などが、病名や治療方針、病状、要望などをヒアリングしながらいっしょに状況を整理し、ティーペック独自の医療機関ネットワークから、セカンドオピニオンの手配をしてくれます。


ティーペックのサービスについては、『セカンドオピニオン手配サービス』で詳しく解説しています。こちらもご一読ください。

より良い治療法を選ぶために、セカンドオピニオンは有効

セカンドオピニオンは、自分の病気を理解し、より良い治療法を選ぶために有効な手段の1つです。がんや難病といった大きな病気を告知されると、ほとんどの方は驚いてしまうのではないでしょうか。冷静な判断ができないこともあるかもしれません。セカンドオピニオンには、別の視点からの意見を聞くことで、疑問や不安を解消し、選択肢を広げられるというメリットがあります。

最も大切なのは、自分の判断で治療方法を選び、納得して治療に向き合えることです。時間や費用がかかるといったデメリットも踏まえた上で、さまざまなサービスを効率的に利用し、セカンドオピニオンを活用しましょう。

監修者プロフィール

江戸川病院 副院長 明星智洋

熊本大学医学部卒業。岡山大学病院にて研修後、呉共済病院や虎の門病院、がん研有明病院などで経験を積む。現在は江戸川病院副院長、腫瘍血液内科部長・東京がん免疫治療センター長・プレシジョンメディスンセンター長を兼任。血液疾患全般、がんの化学療法全般の最前線で先進的治療を行っている。朝日放送「たけしの健康エンターテインメント!みんなの家庭の医学」などテレビ出演や医学監修多数。

■専門医・認定医
日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医・指導医
日本血液学会血液専門医・指導医
日本化学療法学会抗菌化学療法認定医・指導医
日本内科学会認定内科医
日本がん治療認定医機構がん治療認定医

参考

※当記事は、2024年7月に作成されたものです。
※医師の診断や治療法については、各々の疾患・症状やその時の最新の治療法によって異なります。当記事がすべてのケースにおいて当てはまるわけではありません。
※当記事内で紹介されているサービスに関して、当記事を監修した医師は一切関与しておらず、またサービスの監修もしていません。
※「健康経営(R)」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。

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