気になる症状と病気

口内の健康・正しい歯の磨き方

公開日:2024.05.27

‶歯や口の状態が全身の健康に影響する″という認識が定着したといえるでしょう。1日に歯磨きを複数回する人や歯間ケアをする人が増え、80歳で20本以上自分の歯を有する「8020(はちまるにいまる)」達成者は、51.6%に達しています。一方で過去1年間に歯科検診を受診した人は6割未満という統計もあります。今回は、知っていると毎日のケアの意識が変わる、口内の健康と歯周病や虫歯を防ぐ正しい歯の磨き方についてご紹介します。

1.歯周病

40歳以上では、歯を失う原因の5割以上が歯周病です。若いからといって歯周病と無縁というものではなく、30代でも3人に1人、20代の4人に1人が歯周病という調査結果があります。歯周病は、口内だけではなく、脳や心臓など全身に影響を及ぼすため、早期発見・治療と予防に努めることが大切です。

歯周病とは

歯周病は、歯と歯肉(歯茎)の隙間にたまったプラーク(歯垢<しこう>=細菌の塊)により、口腔(こうくう)内が不潔になり、細菌が増殖して歯肉に炎症を起こし、歯周組織にダメージを与える感染症です。炎症により歯と歯肉の隙間が深くなったものを歯周ポケットといいます。

歯肉に炎症が起こる「歯肉炎」と、歯肉炎が悪化し歯を支える骨(歯槽骨)を溶かし、歯をグラグラにさせる「歯周炎」を合わせて歯周病といいます。

侵襲性歯周炎(若年性歯周炎)

近年では、10代から30代が発症する「侵襲性歯周炎」も注目されています。侵襲性歯周炎は、急速に歯槽骨を溶かす歯周病で、若年性歯周炎ともいわれます。侵襲性歯周炎の発症数は多くありませんが、適切な治療を受けないと多くの歯を失うこともあるため注意が必要です。若い人で、歯茎に腫れや出血がある場合は、早めの受診をお勧めします。

歯周病が関係する全身の病気

歯周病は歯の健康を損なうばかりではなく、歯周病菌や歯周病菌が出す毒素が血液によって血管内を巡って運ばれ、全身のさまざまな部位や臓器に病気を引き起こし、悪化させます。歯周病を予防し、口内の健康を保つことは、全身の健康を維持することにつながります。

<歯周病はこんなに多くの病気と関係しています>

・脳卒中(脳梗塞、脳出血など)

・心臓病(心筋梗塞、狭心症など)

・肺炎

・早産や胎児の低体重

・肥満(メタボリックシンドローム)

・糖尿病

・骨粗しょう症

・動脈硬化

・関節リウマチ

・インフルエンザ

口内の細菌が出す酵素には、ウイルス感染を促進させる働きがあるといわれます。特に歯周病菌は強い酵素を持つため、口内を清潔に保ち、歯周病を予防することは、インフルエンザウイルス、新型コロナウイルスの感染予防や重症化リスクの低減にも有効と考えられています。

喫煙と歯周病

タバコに含まれているニコチンなどの有害物質は血管を収縮させ、歯肉への血液循環を悪くします。その結果、歯周ポケットの細菌が増え、歯周病を進行させてしまいます。禁煙によって、歯茎の状態が良くなり、免疫や細胞の働きが高まって、歯周病のリスクが低減し、治療の効果が上がることが分かっています。

2.虫歯

20代から30代で歯を失う原因として最も多いのが、「虫歯」です。う歯(虫歯。処置完了含む)のない人は、20代で23.3%、30代では7.6%で、若い人でも、虫歯のない人が少ないことが分かります。

虫歯とは

虫歯は、原因菌がつくり出した酸で歯が溶かされてしまうことで起こります。虫歯が進行すると、少しずつ歯が溶けた範囲が深くなり、神経に近づくにつれて痛みが生じます。治療は、早期に始めるほど簡易な治療で負担が少なく済みます。予防のためには、原因となる歯にたまったプラークを正しい歯磨きで掃除することが必要です。

正しい歯の磨き方

歯周病や虫歯を予防し、口内の健康を守るためには、毎日のセルフケアが大切です。正しい歯の磨き方を身に付け、毎日の歯磨きでプラークをしっかり落としましょう。

<正しい歯磨きのポイント>

・歯ブラシの持ち方…親指、人差し指、中指で鉛筆を持つように

・歯ブラシの当て方…歯と歯肉の間に45度の角度で当てる。歯に対して直角に当てる

・前歯の裏側の磨き方…歯ブラシを縦にして、柄に近い部分を使う

歯間ケアのススメ

歯と歯の間、歯と歯茎の境目、歯の根元の隙間など、歯ブラシでは落としにくいプラークは、歯間ブラシやデンタルフロスを使用して、しっかり掃除しましょう。歯間ブラシとデンタルフロスを使用するとプラーク除去の効率が2割以上もアップします。調査によると、歯間ブラシやデンタルフロスを使用して歯間ケアをしている人は50.9%、舌の清掃をしている人は21.1%という結果が出ています。

3.かかりつけ歯科医がいますか?

歯が痛くなったときだけではなく、口内や歯、全身の健康維持のためにいつでも気軽に相談できる「かかりつけ歯科医」がいれば安心です。毎回同じ歯科医を定期的に受診することで、歯と口内の小さな変化にも気付いてもらえるため、虫歯や歯周病の早期発見・早期治療にもつながります。歯科健診により健康寿命を延ばし、医療費削減も期待できることから、政府では「国民皆歯科健診」の導入が検討されています。

<かかりつけ歯科医で受けられるケア>

・歯科健診…定期的に受けることで、口や歯の健康状態が分かります

・歯磨き指導…プラークのたまりやすい場所、歯ブラシやデンタルフロスの上手な選び方や使い方など、プロならではのアドバイスを受けましょう

・歯のクリーニング…歯科医や歯科衛生士によるプロのクリーニングを受けることができます。セルフケアでは取れない歯石やバイオフィルム(歯の表面にこびりついた細菌の膜)の除去、虫歯予防効果のあるフッ素ペーストなどを行います。

4.まとめ

口内の健康は、全身の健康に影響し、将来の健康寿命にも関わります。

若いうちから、歯と口内のケアを心掛け、いつまでも自分の歯で好きな物をよくかんで食べ、人との会話や交流を楽しめるように、歯と口内の健康を守りましょう。

原稿・社会保険研究所Copyright

<編集部より>

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参考

※当記事は、2024年5月に作成されたものです。
※医師の診断や治療法については、各々の疾患・症状やその時の最新の治療法によって異なります。当記事がすべてのケースにおいて当てはまるわけではありません。

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