気になる症状と病気

頭痛の原因はストレス?原因やメカニズム、予防法を解説【医師監修】

公開日:2024.01.12

仕事などでストレスが溜まると頭痛に悩まされる、という方も少なくないでしょう。頭痛にはさまざまな原因があり、ストレスと関係していることもあります。本記事では、ストレスが原因で頭痛が起きる仕組み、対処法、予防法、受診の目安について詳しく解説していきます。日頃から頭痛に悩んでいる方やストレスの溜まりやすい環境にある方は、参考にしてみてください。(以下、医師監修による記事です)

頭痛は一次性頭痛と二次性頭痛に分かれる

頭痛の原因を知るには、頭痛の種類を理解しておく必要があります。まずは頭痛の大きな分類である一次性頭痛と二次性頭痛の特徴や違いについて、分かりやすく解説します。

一次性頭痛

一次性頭痛は、病気を原因としない頭痛や原因が特定できない頭痛を指します。つまり、脳梗塞やくも膜下出血、脳腫瘍といったなんらかの病気による頭痛は、一次性頭痛ではありません。

一次性頭痛に分類されている主な頭痛のタイプは、以下のとおりです。

  • 片頭痛
  • 緊張型頭痛(緊張性頭痛)
  • 群発頭痛

片頭痛は、脳の血管拡張による刺激で起こります。頭痛が起きる前には、嘔気・眠気などの予兆や、閃輝暗点(せんきあんてん:視界にキラキラした物が見え、少しずつ視界が狭まる・遮られる)などの前兆が2から3割の方でみられるのも特徴です。前兆のない片頭痛も存在します。

緊張型頭痛は身体的・精神的ストレスや長時間のスマートフォン・パソコンの使用による筋肉の緊張などが関連しているとされ、頭部や頸部(けいぶ)の筋肉が収縮することで起こります。締め付けられるような痛みが特徴の1つです。

群発頭痛は原因が解明されていない頭痛で、眼の周囲や前頭部、側頭部にかけて明け方に激しい痛みが起こります。また、発作が起こると、眼の充血や鼻づまり、鼻水、発汗などの症状も出てきます。

二次性頭痛

二次性頭痛とは、なんらかの病気や外傷を原因とする頭痛を指しています。中には、緊急性の高い病気と関連している場合があるので、速やかに医療機関を受診する必要があります。

たとえば、スポーツなどで頭部を打撲したり外傷を受けたりして、薄い硬膜下血腫や脳挫傷が引き起こされた場合、頭部に衝撃を受けた翌日以降に頭痛が起きることもあります。脳梗塞やくも膜下出血を発症した際には、突然強い頭痛が起きます。また、脳腫瘍の場合は、頭痛だけでなく手足が動きにくくなる、朝の嘔吐、しゃべりにくくなるといった症状も出てくるのが特徴です。

このような症状に心当たりがある場合は、一人でケアしようとせず、早急に医療機関を受診してください。

ストレスが原因で頭痛が起きる仕組み

ストレスをきっかけとした頭痛は、主に緊張型頭痛であるとされています。緊張型頭痛の誘因は明確に特定されているわけではありませんが、ストレスや不安などと関連性があるとされているのです。

ストレスや眼精疲労などによる刺激は頭部や頸部の筋肉を収縮させるため、締め付けられるような痛みが発生します。さらに、痛みを我慢することが心身ともに負担となって悪循環に陥ることもあり、継続的な痛みにつながるのです。

なお、ストレス性の頭痛には片頭痛が含まれているケースもあるため、注意が必要です。ストレスによる片頭痛の仕組みもまた、はっきりとは解明されていません。ストレスから解放されたときなど、なんらかのきっかけで血管が拡張することにより脈打つような痛みが生じるといった説。三叉(さんさ)神経を刺激されることで、血管が拡張したり神経が炎症を引き起こしたりして痛むといった説があります。

緊張型頭痛と片頭痛は併発したり移行したりする場合もあります。片頭痛に関しては「意外と知らない片頭痛の誘因と3つの対処方法」でも解説しています。片頭痛と緊張型頭痛では対処法が異なるため、参考にしてみてください。

緊張型頭痛の具体的な症状と仕組み

続いては、ストレスが原因として関係する緊張型頭痛の症状やメカニズム、特徴について分かりやすく解説していきます。

主な症状は圧迫感のある痛み

緊張型頭痛は、頭部や後頭部付近の首筋に締め付けられるような痛みを引き起こします。痛みは30分以上続き、多くの場合は両側から痛みを感じます。月に一度だけ数時間で痛みが引くケースもあれば、数日にわたって頭痛が続くケースもあります。

片頭痛とは異なり、一般的には吐き気が生じたり、光や音によって頭痛が悪化したりすることはありません。予兆・前兆とされる現象は起きないため、あらかじめ頭痛の発生を予測するのが難しいといえます。

首や肩のこりなど、身体的ストレスでも起こりやすい

緊張型頭痛は、頭部や頸部、その周辺の筋肉が緊張することで引き起こされます。

ストレスによって緊張型頭痛が生じる仕組みは、前述したとおりです。しかし、筋肉をこわばらせる要因はストレスだけではありません。血行不良や姿勢の悪さ、運動不足なども筋肉を緊張させてしまいます。

姿勢が悪かったり、デスクワークなどで長時間同じ姿勢を続けていたりすると、首や肩に負荷がかかります。これにより部分的に筋肉が縮こまって、硬くなってしまうのです。たとえば、夕方になると頭痛がするという方は、こうした日中の筋肉の疲労・緊張が蓄積された結果、緊張型頭痛が生じている可能性が高いと考えられます。身体的ストレスのかかる習慣を続けている方は、筋肉の緊張状態を緩和させる方法を覚えておきましょう。

ストレスが原因の頭痛の対処法

頭痛の対処法は頭痛のタイプによっても異なります。ここからは、ストレスなどを原因とする緊張型頭痛が起きた際の対処法について解説していきます。

市販薬で頭痛を軽減させる

緊張型頭痛の症状がある場合、市販の鎮痛薬を用いて痛みを軽減させることは有効です。無理をして痛みを我慢することがストレスとなることもあるため、適切な範囲で服用し、他の対処法と併用しましょう。

ただし、薬を服用しすぎてしまうと、薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)を招く可能性があります。予防したいからといって症状がない状況で市販の鎮痛薬や処方薬などを服用したり、長期間にわたって鎮痛薬を服用したりすると、薬で頭痛を抑えることが難しくなる場合があります。

首や肩を温めたりほぐしたりしてみる

緊張型頭痛の症状を抑えるには、ストレスやデスクワークなどによる身体のこわばりを改善することが重要なポイントです。

首や肩を温めて血行不良を改善したり筋肉の緊張をほぐしたりすると、緊張型頭痛の症状を軽減できる可能性があります。また、リラックス効果による精神的ストレスの緩和にも役立つでしょう。

デスクワークなどで長時間同じ姿勢を続けている方も、作業の合間に次のような簡単なストレッチを挟んでみてください。

  • 手を下ろして肩だけを上げ下げする
  • 椅子に浅く腰かけて、身体を折りたたむように前屈をする(つま先を触る)

自宅では蒸しタオルやホットのネックピロー、低温の電気毛布を使ったり、湯船につかったりすることで首と肩を温め、血行不良の改善を促してみてください。湿布を使いたいときは、温湿布を使用して筋肉の緊張をほぐしましょう。

睡眠不足や疲労の蓄積を感じているときは休む

何日も睡眠不足が続いたり仕事や家事などで疲労を感じたりしている場合は、良質な睡眠や休みをしっかり取る必要もあります。

睡眠不足や疲れは精神的なストレスを引き起こし、血行不良にもつながります。緊張型頭痛が続く場合は、充分な休息が取れているか見直してみましょう。

睡眠の質を改善するなら、就寝前にスマホやパソコンの画面を見ないよう気を付けてみてください。疲労を回復させるためには、栄養バランスの取れた食事をこころがけたり、身体をしっかり温めて筋肉の緊張をほぐしたりするのも大切です。

ストレスが原因の頭痛を一瞬で治す方法はない

ストレスを原因とする緊張型頭痛を一瞬で治す方法はありません。

前々段「緊張型頭痛の具体的な症状と仕組み」で解説したように、緊張型頭痛の原因はストレスなどによって生じた筋肉のこわばりです。ストレスを一瞬でなくすことは困難なため、日常的に少しずつ発散したり、自分へのご褒美をつくってこころのバランスを取ったりする必要があります。

また、筋肉のこわばりを一度のマッサージで解消することも困難です。日々の生活で生じる筋肉のこわばりは、マッサージやストレッチなどで継続的にほぐし、正しい姿勢を身につけることで軽減していきます。

次の項目で紹介する予防方法も覚えながら、頭痛が起きにくい環境を整えてみましょう。

ストレスが原因の頭痛を予防する方法

ストレスが関係している緊張型頭痛を予防するには、できる限り筋肉を緊張させず、緊張を長時間継続させないようにしましょう。現代社会でストレスの原因を取り除くのは困難ですが、筋肉の収縮を避ける方法は比較的実践しやすいです。それでは、緊張型頭痛を予防する方法について紹介します。

ストレッチなどで首や肩周辺のこりをほぐす習慣をつくる

緊張型頭痛を予防するには、筋肉の緊張状態をつくらない生活習慣をこころがける必要があります。日頃からストレッチやウォーキングといった適度な運動で身体をほぐし、血行がよい状態を維持することが重要です。

ストレッチの際は、特にこりやすい首や肩周辺をほぐすのがポイントです。

  • 肩をゆっくり回す
  • 首を左右にゆっくり倒す動作を繰り返す

といった数分でできる簡単な方法を習慣化するだけでも、首や肩の血行促進につながります。日常的にストレッチを行えば、自然と息抜きやリラックスをする時間にもなるため、ストレスの軽減も期待できます。

猫背など姿勢の悪い状態で生活している場合は、姿勢を正して肩や首への負担を減らしましょう。デスクワークの方はよい姿勢がキープできるよう、キーボードやディスプレイの位置も調整してみてください。

長時間の同じ姿勢はなるべく避ける

長時間同じ姿勢を続けないように注意してください。ずっと同じ姿勢でいると首や肩周辺の筋肉を緊張させてしまいますし、血行不良も招きます。30分から1時間に一度は軽いストレッチをしたり、お茶を入れに立ち上がったりして、少しでも身体を動かすことを意識しましょう。

姿勢というと背中や腰が思い浮かぶ方も多いかもしれませんが、首の姿勢も重要です。スマホを見たり読書したりする際に、首を前に傾ける姿勢を続けないよう注意してください。

枕の高さを変えてみる

起床したときから首や肩のこりを感じたり、頭痛が起きたりする場合、枕の高さや硬さを変えてみてください。

枕の高さが合わなかったり、あまりにも軟らかかったりすると、首や肩周辺の血流が悪化し、肩こりにつながります。仰向けで寝たとき、地面に立っているときと同じ姿勢になれる高さの枕を選びましょう。

ストレスの解消方法を見つけてみる

筋肉を緊張させないために、ストレスを溜めない、ストレスをこまめに解消する方法も探してみてください。

職場の環境に強いストレスを感じる場合は、休職や転職を検討した方がいいこともあります。とはいえ仕事を休んだり変えたりすることは、簡単なことではありません。好きな映画やドラマを観たりショッピングしたりなど、熱中できることや気分転換になる趣味をつくってみるのもひとつの方法です。

ストレスの原因について誰かに相談したり、定期的な運動でストレスを発散したりして、ストレスと上手く付き合えるように工夫してみてください。

ストレスが原因の頭痛で医療機関を受診する目安

緊張型頭痛のような痛みが慢性的に続いており、日常生活に影響が出ている場合は、早めに医療機関を受診した方がいいでしょう。

頭痛を抑えようとして、長期にわたって市販の鎮痛薬を服用してしまうケースもあります。前半でも解説したように、鎮痛薬を服用しすぎると薬剤の使用過多による頭痛のリスクを高めるため、薬を飲まないと仕事や生活がままならないような状況なら治療が必要です。

ストレスを原因とした頭痛かどうかは自己判断できません。慢性的な頭痛でなくとも、不安や負担が大きいと感じているなら、医療機関の受診を検討しましょう。

ストレスが原因の頭痛が起きたら何科を受診すべき?

ストレスによる頭痛で医療機関を受診する際、何科を受診すべきか解説していきます。

かかりつけ医がいなければ一般内科や脳神経内科

まずはかかりつけ医を受診してください。かかりつけ医へ頭痛の症状について相談した場合、頭痛専門医の在籍している医療機関を紹介してもらえる可能性があります。

かかりつけ医がいなければ、一般内科や脳神経内科を受診してみましょう。一般内科や脳神経内科では、頭痛の診断のための検査や、結果に応じた治療を行ってもらえます。

近年では頭痛専門のクリニックも開院されている

より専門的な治療を受けたい場合や、内科での治療で改善しなかった場合は、頭痛専門のクリニックや頭痛外来を設けている医療機関の受診を検討してみましょう。

頭痛外来は、その名のとおり頭痛を専門とした外来で、頭痛の専門医が在籍しています。また、頭痛専門クリニックも同様に頭痛全般を扱っているのが特徴です。

一般内科との大きな違いは、頭痛治療に特化している点です。たとえば、生活習慣の改善指導から症状に合わせた薬の処方、頭痛予防のアドバイスなど、幅広く対応してくれるのが特徴です。また、小さい規模の病院では置くことが難しいMRIなどの検査機器も用意されており、検査のために他の病院にかからなければならないといったことが起こりにくいです。

なお、医療機関を受診する際は、「頭痛ダイアリー」を記録しておきましょう。頭痛ダイアリーとは、頭痛が起きた日にちと時間、痛みの強さ、前兆の有無や状況を細かく記載しておく日記のことです。医師は頭痛ダイアリーを確認することで、症状をより具体的に把握できます。

ストレスが原因の頭痛が続く場合は医療機関の受診を

ストレスが原因の頭痛は、主に緊張型頭痛です。首や肩の緊張で頭部の筋肉に収縮が起こり、締め付けられるような痛みを感じます。精神的なストレスによる神経への刺激で、頭痛が起こる場合もあります。

慢性的な頭痛で悩んでいる方や今の頭痛の原因がストレスなのかを知りたい方は、一般内科や脳神経内科、頭痛外来などに相談してみてください。

<編集部より>
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監修者プロフィール

高座渋谷つばさクリニック 院長 武井 智昭

■経歴
2002年 慶應義塾大学医学部卒業
2004年 立川共済病院勤務
2005年 平塚共済病院小児科医長として勤務(内科)
2010年 北里大学北里研究所病原微生物分子疫学教室兼任
2012年 横浜市内のクリニックの副院長として勤務(スマイルこどもクリニック)
2015年 小谷クリニック 内科・小児科(訪問診療部)部長
2017年 「なごみクリニック」内科・小児科・アレルギー科 院長
2020年4月 「高座渋谷つばさクリニック」院長就任

■専門医・認定医
小児科専門医・指導医
日本小児感染症学会認定 インフェクションコントロールドクター(ICD)

※当記事は、2023年12月に作成されたものです。
※医師の診断や治療法については、各々の疾患・症状やその時の最新の治療法によって異なります。当記事がすべてのケースにおいて当てはまるわけではありません。
※当記事内で紹介されているサービスに関して、当記事を監修した医師は一切関与しておらず、またサービスの監修もしていません。

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