気になる症状と病気

幼児に多い急性胃腸炎とは

公開日:2023.08.22

乳幼児期は、何かと体調を崩しやすいものです。子どもの突然の腹痛や下痢で、パニックになった経験がある保護者も多いことでしょう。保育園や幼稚園に通う子どもを持つ保護者は、子どもの腹痛や下痢に対応するために、一定の季節に流行する各種感染症について理解を深めることが重要です。また、医療機関の受診など迅速な対応をとるためにも、子どもの腹痛の特徴や腹痛のサインを知っておく必要があります。子どもが発する腹痛のサインから、かかりやすい感染症の特徴、流行時期などについて、一緒に確認していきましょう。

1. 子どもの腹痛の特徴

自身の痛みや不調について、まだ言葉でうまく伝えられない乳幼児期においては、保護者が子どもの動作やしぐさで腹痛が起こっていることを把握するのが大切です。子どもの体調不良に気づくための日ごろしておきたい対策と合わせて、腹痛のよくある原因について詳しくみていきましょう。

1.1子どもが発する体調不良のサインを見逃さないために

子どもの体調不良のサインを受け取るためには、日ごろから子どもの顔色や行動をよく観察して、いつもと違う様子がないかを確認することが大切です。毎日熱を測り記録する、排便・排尿の回数や様子、就寝時の様子などを記録することで、変化を素早く察知できる可能性が高まります。

1.2腹痛の原因

子どもの腹痛によくある原因は、「便秘症」と「感染性胃腸炎」です。

便秘では、腹痛以外の症状がほとんどみられず、痛みに波があり、排便後にはほとんどの場合痛みが消えるという特徴があります。

感染性胃腸炎には、大きく分けてロタウイルスやノロウイルス、アデノウイルスなどのウイルス性の胃腸炎と、カンピロバクターや病原性大腸菌など細菌性の胃腸炎の2つがあります。

感染性胃腸炎は、ウイルスとの接触や生ものの飲食が原因で発生します。特に乳幼児に多く、1歳以下の乳児においては症状の進行が早いため注意が必要です。

2. 子どもに多い急性胃腸炎の種類①ロタウイルス

ここからは、子どもに多い急性胃腸炎の種類や特徴について解説します。はじめに、ロタウイルスの感染経路や流行時期、ワクチンの接種時期などについてみていきましょう。

2.1ロタウイルスとは    

ロタウイルスとは、ロタウイルスによって引き起こされる急性胃腸炎のことです。特に0~6歳の乳幼児期にかかりやすく、ほとんどの子どもが5歳までにロタウイルスに感染するといわれています。

5歳までの急性胃腸炎の入院患者のうち、40~50%はロタウイルスが原因といわれているほどです。

2.2感染経

ロタウイルスの主な感染経路は、ヒトとヒトの間で起こる「糞口(ふんこう)感染」です。ウイルスが含まれている糞便が手指に付着し、そこからウイルスが口内に入ることで感染します。

2.3流行時期

毎年3月~5月頃に乳幼児期を中心として流行する胃腸炎のうち、ロタウイルスによる胃腸炎が多く含まれると考えられています。

2.4ロタウイルスの症状と経過    

ロタウイルスの主な症状は、水のような下痢と吐き気、嘔吐、発熱、腹痛といわれています。これらの症状によって脱水症状が出た場合には、入院治療が必要になることもあります。

ロタウイルスに感染すると、2~4日間の潜伏期間の後、水のような下痢と嘔吐を繰り返す可能性があります。これらにより重い脱水症状が数日間続くこともあるでしょう。

合併症として、けいれん、肝機能異常、急性腎不全、脳症、心筋炎などがあるといわれています。
また、ロタウイルスに効果のある抗ウイルス剤は現時点(2023年6月12日)では存在していないため、対症療法を行うことになるでしょう。

2.5ロタウイルスワクチンの種類と接種時

ロタウイルスにはワクチンが存在しています。ワクチンは2種類あり、どちらにも同様の効果があります。

ワクチンの種類接種回数
ロタテック®3回接種
ロタリックス®2回接種

ロタウイルスワクチンを接種することで、「ロタウイルス胃腸炎による入院患者を約70~90%減らすことができた」(※1)という厚生労働省の報告もあります。

また、ロタウイルスワクチンの初回接種は、生後14週と6日までと時期が定められています。

【出典】
※1:厚生労働省「ロタウイルス」

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou03/rota_index.html

3. 子どもに多い急性胃腸炎の種類②ノロウイルス

次に、ノロウイルスの特徴や感染経路、症状について解説します。

3.1ノロウイルスとは    

ノロウイルスとは、ノロウイルスによって引き起こされる感染性胃腸炎のことです。ノロウイルスは、嘔吐・下痢などの急性胃腸炎の症状を引き起こします。

3.2感染経路    

ノロウイルスの主な感染経路は、経口感染です。ロタウイルスと同様の糞口感染のほか、汚染された生の二枚貝、調理による加熱が不十分な食べ物、感染者によって調理された食品などからも感染します。

3.3流行時期

ノロウイルスは通年発生しています。ただし、11月~4月に感染者が多くなることから、秋口から春先に流行する傾向にあるといえるでしょう。

3.4ノロウイルスの症状と経

ノロウイルスに感染すると、1~2日間の潜伏期間の後、吐き気や嘔吐、下痢、腹痛といった症状があらわれるとされています。発熱は比較的軽い傾向です。

これらの症状が1~2日間続いた後に症状がなくなり、後遺症もほとんどないといわれています。また、感染しても軽い風邪のような症状でおさまったり、そもそも症状があらわれなかったりすることもあるようです。

ただし、症状がなくなったあとも、3日~1週間程度は感染者の便にウイルスが含まれている可能性があるため、感染者の身近な方への2次感染に注意が必要です。

3.5ノロウイルスのワクチンについて

ノロウイルスにはワクチンがありません。治療は対症療法となるでしょう。

4. 子どもに多い急性胃腸炎の種類③アデノウイルス

アデノウイルスによる急性胃腸炎も、子どもに多くみられます。アデノウイルスの特徴や感染経路、症状について解説します。

4.1アデノウイルスとは

アデノウイルスとは、呼吸器疾患や眼科疾患だけでなく、小児における感染性胃腸炎の原因となるウイルスのことです。特に6歳以下の小児に多いといわれており、下痢症状が長期間続くという特徴があります。

4.2感染経路

アデノウイルスの主な感染経路には、糞口感染のほか、接触感染や感染者との接触や咳・くしゃみによる飛沫からも感染します。

4.3流行時期    

アデノウイルスは通年発生しています。ただし、6月~8月の夏の期間においては、咽頭結膜熱(いわゆるプール熱)として流行する傾向にあります。

4.4アデノウイルスの症状と経過

感染性胃腸炎を引き起こすアデノウイルスに感染すると、約3~10日の潜伏期間の後、発熱、嘔吐、下痢などの症状があらわれるとされています。アデノウイルスはロタウイルスやノロウイルスよりも下痢症状が長く、ウイルスの排出期間も長期にわたるため、2次感染への注意が必要です。

4.5アデノウイルスのワクチンについて

アデノウイルスにはワクチンがありません。治療は対症療法となるでしょう。

5. 子どもの腹痛に気づくために!日ごろからの観察が重要

子どもの腹痛の原因はさまざまです。腹痛による体調不良から少しでも早く回復するためには、異変にすぐに気づける環境をつくることが大切です。


<編集部より>
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≪執筆者プロフィール≫
ライター:髙橋 みゆき(たかはし みゆき)
2016年よりライター・編集者。各種民間保険、介護、医療、ITなど幅広いジャンルの記事を企画・執筆。
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参考

※当記事は2023年7月時点で作成したものです。
※医師の診断や治療法については、各々の疾患・症状やその時の最新の治療法によって異なります。当記事がすべてのケースにおいて当てはまるわけではありません。

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