気になる症状と病気

インフルエンザワクチンの効果と対象者・副反応について解説

公開日:2023.08.25

毎年秋から冬になると流行するインフルエンザ(季節性)。身近とはいえ急激に重症化することもあるため、決して軽く考えてはいけない病気です。ワクチンの接種は毎年推奨されていますが、なぜ推奨されているのか、どのようなメリットがあるのか、あまり理解していない方もいるのではないでしょうか。今回は、インフルエンザの基礎知識と、インフルエンザワクチンの効果や副反応について解説していきます。

1.インフルエンザとは

インフルエンザとは、インフルエンザウイルスを病原とし、国内では毎年約10人に1人がかかる感染力が強い病気です。重症化しやすいのは、高齢者・幼児・妊娠中の女性・喘息や慢性呼吸器疾患(COPD)、慢性心疾患、糖尿病などの持病がある人であり、特に感染予防をする必要があるでしょう。

1-1.インフルエンザの種類とその流行期

インフルエンザは、抗原によってA・B・C・D型に分けられます。ヒトへの感染が確認されているのはA・B・C型で、どれも症状は同じように現れます。

そのうち、流行的な広がり方をするのはA型とB型です。また同じ型でも突然変異を頻繁に起こして、毎年蔓延することがわかっています。

 

日本では例年1月下旬〜3月ごろが流行しやすい時期ですが、そのとき蔓延する感染症により動向が変わる場合があります。

1-2.インフルエンザの症状と、風邪との違い

インフルエンザは、感染してから1~3日間ほど潜伏期間があり、その後に発熱(通常38℃以上の高熱)、頭痛、全身倦怠感、筋肉痛・関節痛などが突然現れます。また、咳、鼻汁などの上気道炎症状がこれに続き現れ、約1週間で軽快していきます。

 

一方で風邪は、個人によって症状がさまざまです。発熱や全身症状(頭痛、全身倦怠感、筋肉痛)が現れない場合や、ゆっくり発症して長引く場合もあります。風邪よりもインフルエンザの方が急激に重症化しやすい特徴があります。

 

風邪とインフルエンザに共通する感染予防として、こまめな手洗い・身体の抵抗力を高めること・人混みや繁華街への外出を控えることなどが効果的であるといわれています。

2.インフルエンザワクチンとは

インフルエンザはワクチンで重症化を抑えることができます。インフルエンザワクチンとは何か、その特徴を説明します。

2-1.インフルエンザワクチンの効果と接種回数

インフルエンザワクチンは「不活化ワクチン」であり、ウイルスが身体の中に入っても発症しないように抑え、免疫をつくるために必要な部分のみを取り出して作られています。ワクチン接種によって、インフルエンザが身体の中で戦うための予行演習をすることができ、実際にウイルスが入ってきたときの対応がスムーズになると考えてよいでしょう。

            

感染や発症そのものを完全に防御することはできませんが、重症化や合併症の発生を予防する効果は証明されています。例えば高齢者の方がワクチンを接種すると、接種しなかった場合と比べて、死亡のリスクを1/5に、入院のリスクを約1/3~1/2にまで減少させることができるといわれています。

 

インフルエンザワクチンの安全性はきわめて高いと評価されています。接種回数はワンシーズンあたり、13歳以上は1回、13歳未満は2回が推奨されています。しかし、前項で説明したようにインフルエンザの型は突然変異をするため、毎年のワクチン接種が必要です。

 

なお、ワクチンの接種には健康保険が適用されません。費用は自治体や医療機関、そのときの情勢によって異なりますが、例えば東京都の場合     1回3000~4250円程度です。

2-2.インフルエンザワクチンの対象者

インフルエンザワクチンは、生後6ヶ月以上から打つことができます。前述したように13歳以上は1回の接種が基本ですが、13歳以上でも基礎疾患のある人は2回接種するように医師から指示される場合があります。

2-3.インフルエンザワクチンの非対象者

明らかな発熱のある方や、重い急性疾患にかかっていることが明らかな方などは、インフルエンザワクチンを接種することができません。少しでも不安がある方は、必ず医師に相談しましょう。

3.インフルエンザワクチンの副反応

インフルエンザワクチンは基本的には身体の中で活動しないように作られていますが、インフルエンザと同じような症状や、それ以外の症状が出る場合があり、これを副反応といいます。

ワクチンの全身性の副反応は、接種を受けた方の5〜10%に起こり、通常2〜3日で消失することが多いです。よくある症状として、発熱・頭痛・寒気(悪寒)・だるさ(倦怠感)などが見られます。

 

また局所的な副反応として、接種を受けた方の10~20%に接種した箇所の赤みや腫れ・痛みなどが起きることがあります。こちらも全身性と同様に、多くは通常2~3日で消失します。まれに、アナフィラキシー様症状(発疹・じんましん・呼吸困難等)などの重篤な症状が出る場合があります。

 

インフルエンザワクチンは病原性をなくして、不活化したウイルスを使用したワクチンですが、接種によってインフルエンザを発症することはありません。

 

アナフィラキシー様症状や高熱、呼吸状態がいつもと違うと気づいた場合にはすぐに受診しましょう。

4.重症化を防ぐためにも積極的なワクチン接種を

今回はインフルエンザとワクチンについて説明をしてきました。ワクチンの接種は毎年必要となるため、費用を払ったり、受診のための時間をつくったりする手間が面倒に思うかもしれません。しかし、重症化を防ぎ周囲への蔓延を予防するためにも、接種は大切なことです。早めに計画を立て、毎年受けるようにしましょう。


<編集部より>
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≪執筆者プロフィール≫

訪問看護師ライター・那賀嶋幸恵(なかじまゆきえ)

新卒で急性期病院へ従事したのち、デイサービスや特別養護老人ホームなど様々な看護の場を経験。現在は訪問看護ステーションにて在宅医療の現場をみつつ、医療福祉のあり方を日々発信中。

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参考

※当記事は2023年6月時点で作成したものです。ワクチンの内容や接種条件などは、今後変更になる可能性がありますので、予めご了承ください。
※医師の診断や治療法については、各々の疾患・症状やその時の最新の治療法によって異なります。当記事がすべてのケースにおいて当てはまるわけではありません。

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