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福岡発、家族まるごと支える“乳がん支援”──ハッピーマンマの創意工夫に富んだ活動とは?

公開日:2025.11.28

「乳がん支援=患者本人へのケア」。そんなイメージを大きく覆すのが、福岡を拠点に20年以上活動しているNPO法人「ハッピーマンマ」です。地方都市・福岡から発信されているにもかかわらず、公募企画や情報配信などの活動の幅は全国レベル。しかも、患者だけでなく家族や地域までを巻き込んだ、創意工夫に富んだ支援を展開しています。今回は、ハッピーマンマの活動と、団体を支える事務局の田中万貴さんからのメッセージをご紹介します。

なぜハッピーマンマは「すごい」のか?20年以上の実績と創意工夫が光る企画

2019年のハッピーマンマの 活動写真
<2019年活動写真/博多どんたく>

1.福岡発、20年超の実績と信頼

ハッピーマンマは2003年、医師・看護師・放射線技師など乳がんに関わる医療従事者が中心となって設立されました。


以来、早期発見のための啓発活動と、患者・家族のケアを両立させながら、20年以上もの間、地道に活動を続けてきました。「地方だからできない」ではなく、「地方だからこそできる支援」を追求してきたその姿勢は、地域や乳がんという枠を超えて、患者支援活動に携わるすべての方の参考になります。

2.家族・子どもまで含めた“まるごと支援”

ハッピーマンマの最大の特長は、「がんは本人だけではなく、家族の支援も必要」という視点を持っていることです。患者本人だけでなく、配偶者や子ども、周囲のサポーターにまで目を向けた支援設計がなされています。

3.創意工夫あふれる企画力と活動

ハッピーマンマの活動には、どれも一工夫された“人に届く仕掛け”があります。

<創意工夫に富んだ活動内容ピックアップ >

■ピンクリボンライトアップや地域とのコラボレーション
福岡ソフトバンクホークスとのピンクリボン活動「ピンクフルデー」では、球場がピンクカラーに。また、ハッピーマンマブースの設置やマンモグラフィ検診車の運用など、スポーツの場で今乳がんに直面していない人にも乳がんを知ってもらい、早期発見を促す取り組みを行っています。


また、10月の「ピンクリボン月間」には、福岡タワーや近隣の建物がピンクにライトアップされ、視覚的に乳がん啓発を行うイベントを実施。行政や企業とも連携しながら、多くの市民が立ち止まり、考えるきっかけをつくっています。

2025年の福岡ソフトバンクホークスとのピンクリボン活動「ピンクフルデー」の様子
<2025年 福岡ソフトバンクホークスとのピンクリボン活動「ピンクフルデー」>

■「あなたのこころの詩」
2010年から始まった企画です。がん患者やその家族、支援者たちが、それぞれの想いを詩や川柳に込めて投稿するプロジェクトで、作品は冊子やホームページで公開されています。


気持ちは言葉にすることで心が整理され、「自分だけじゃない」と気づける場になったり、他者の作品を読んで力が湧いたり、勇気が出たり、思わず笑みがこぼれることもあります。


2025年の募集テーマは「がんとこころ」(締切は2025年12月31日)です。


詳細・応募はこちら>>https://happymamma.net/71086.html#contents

あなたのこころの詩の小冊子
<あなたのこころの詩の小冊子>

■ピンクリボン英会話(教育×乳がん支援)
乳がん患者さんの子どもたちを対象に、1年間オンライン英会話レッスンを無償提供。「子どもが未来を見て明るくなることで、家庭が明るくなる」という発想は、単なる学習支援を超えた、心のケアのアプローチでもあります。


「英会話という、いつもと違う世界に触れ、家庭での話題が生まれ、家族に笑顔が増え、より明るくなることを願っています」というメッセージからも、“まるごと支援”を大切にする団体の想いが伝わってきます。


■ハッピーサポート(地域団体の活性化×サポート活動を次世代へ)
乳がんに関する活動を行っている福岡県内の患者・患者支援団体の活動をサポートする支援プログラムです。県内の乳がん支援活動の活性化や、次世代の支援活動の促進に貢献しています。


いずれの取り組みも、「情報配信のみ」には留まらず、参加した人が心を動かされ、また誰かと共有したくなるような仕組みがあります。


周囲を巻き込み、乳がん(がん)に関わるすべての人に楽しんでもらおうとする創意工夫の積み重ねが見られます。その他の活動や詳細は、過去の取り組みがHP(https://happymamma.net/)にまとめられていますので、ぜひご覧ください。

<まとめ>家族まるごと、地域まるごとで支える乳がん患者支援のかたちがここにある

ハッピーマンマが大切にしている「病気と向き合うすべての人を“まるごと支える”」という視点は、医療の枠を超えて、支援が届きにくい部分にも積極的に手を差し伸べている点が印象的です。


たとえば、乳がん患者さんの家族や子どもの孤立、地方に住む人の情報格差といった課題にも丁寧に向き合っています。こうした取り組みは、これからの地域医療やがん支援のあり方に新しいヒントを与えてくれるはずです。

ハッピーマンマ事務局・田中万貴さんからのメッセージ

ハッピーマンマは、設立当初より街頭イベントなど対面で行うピンクリボン活動を中心に活動を行ってきました。これまで乳がんに関心のなかった方々と直接お話しし、乳がん触診模型やクイズラリーに参加いただくことで、私たちの思いを伝えることができました。


今後も、乳がんについての正しい情報を発信し、性別や年齢に関係なく皆さまに知っていただきたいと思います。乳がんで悲しむ方が1人でも少なくなるように、そして乳がん患者さんのサポート活動を進めてまいります。

■ハッピーマンマについて

ハッピーマンマ
https://happymamma.net/

「ハッピーマンマ~乳がんから女性を守る会~」は、2003年7月、「乳がん早期発見のための啓発」と「乳がん患者と家族のケアおよびサポートの充実」を目的に、医師・看護師・その他の医療従事者や「乳がん」に携わるさまざまな職種メンバーが中心となって発足。


2015年3月、福岡市認定のNPO法人となり、年間を通してブレスト・アウェアネスを推進しています。「ハッピーマンマ」という言葉には、乳がんで悲しい思いをする人を一人でも少なくしたい、たとえ乳がんにかかったとしても、ご本人やご家族にハッピーと感じてもらえる時間を少しでも持っていただきたい、という気持ちが込められています。


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取材・文:大井美深(ティーペック株式会社 広報担当)
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※当記事は2025年9月に作成されたものです。
※医師の診断や治療法については、各々の疾患・症状やその時の最新の治療法によって異なります。当記事がすべてのケースにおいて当てはまるわけではありません。

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