• トップ
  • 記事一覧
  • 特集
  • 食道がんサバイバーを外食に誘うときの気づかいポイント5選──ティーペック×食道がんリングスの「飲食店検索AIプロンプト」から学ぶ配慮ポイント

特集

食道がんサバイバーを外食に誘うときの気づかいポイント5選──ティーペック×食道がんリングスの「飲食店検索AIプロンプト」から学ぶ配慮ポイント

公開日:2025.11.28

「がんサバイバーと外食に行きたいけれど、どんなお店を選んだらいいかわからない」──そんな悩みを持つ方におすすめしたいのが、ティーペックと食道がんサバイバーの患者会『食道がんリングス』が共同企画したがんサバイバー向け「飲食店検索AIプロンプト」です。これは、2025年のJAPAN Cancer Forumの食道がんリングスブースでも配布して、がん経験者もその周囲の人も「外食を楽しむ」ための新しいサポートツールとして好評でした。この企画を通じて見えてきたのが、「がんサバイバーと外食するときに、知っておきたい配慮ポイント」の存在です。今回、その中でも食道がんサバイバーを外食に誘うときの気づかいポイントをまとめました。

2025年のジャパンキャンサーフォーラムの食がんリングスブース
<2025年ジャパンキャンサーフォーラムの食がんリングスブース>

ダンピング、嚥下トラブル…食道がん経験者にとっての外食は、ちょっとした試練でもある。

「食べる」という行為は、誰にとっても日常的な楽しみの1つ。
しかし、食道がんサバイバーにとって、外での食事は不安も付きまとうというのが正直な感想です。
そこで、今回は食道がんサバイバーの人を外食に誘うときの気遣いポイントをまとめてみました。


まず、食道がんのサバイバーに多いのが、以下のような悩みです。

  • ダンピング症状:主に動悸、めまい、冷や汗、腹痛、下痢などの症状で、早期ダンピング症候群(食後30分以内)、後期ダンピング症候群(食後2〜3時間)がある
  • 嚥下障害・狭窄:食べ物をうまく飲み込めない、喉につかえる感覚
  • 食事量が極端に少ない:普通の量を頼むと食べきれず、気を遣う
  • トイレが近くに必要:食後すぐに駆け込みたくなることも
  • お酒が飲めない:飲酒を控えているので、ノンアルコールメニューが少ないお店は飲むものがない

こうした症状は、外からは見えづらく、周囲の理解がなければ「つらいけど我慢する」状況になりがちです。

食道がんサバイバーを外食に誘う前に知っておきたい「5つの配慮ポイント」

では、実際にがんサバイバー、特に食道がん経験者を外食に誘う際に、どんな点に気をつければよいのでしょうか?髙木さんへのヒアリングをもとに、知っておきたい5つの配慮ポイントをご紹介します。

(1)トイレが店内にあり、できれば近い位置であること

食後すぐに体調が急変することがあるため、トイレがすぐに行けると安心です。店内に複数・個室・男女別であるかが重要です。

(2)メニューの柔軟性(少量・やわらかめ・飲み込みやすさ)

少量メニューがある、またはリクエストできると助かります。スープや煮込み料理、粥など「のどごしの良い」「やわらかい」メニューがあると嬉しいポイントです。

(3)ノンアルコールメニューが豊富かどうか

食道がんの原因の1つが飲酒なので手術・治療後に飲まない人が多いです。「飲まないの?」という雰囲気が負担になることもあるので、ノンアルドリンクが複数あるお店は、安心して誘える基準になります。

(4)バリアフリーの有無、ソファ席などの施設情報

サバイバー本人の体調や治療状況にもよりますが、バリアフリーのあるお店は身体の負担が少ないです。ソファ席などが選べると嬉しいです。

(5)「無理せず断ってOK」「希望を言ってOK」を事前に伝えておく

何かあったときに言い易い雰囲気はとても重要です。体調によっては、当日キャンセルや途中退出もOK、食べられないもの(食べられるもの)を言える雰囲気を作っておくことが、サバイバー本人の気持ちを軽くします。


食道がんリングス代表の髙木さんは「食道がんの原因の1つは飲酒ということもあり、飲酒は控えますが、食道がんサバイバーは“飲みの場”が好きな人がたくさんいます。アルコール=飲み会ではなく場を楽しみたいので、あまり考えすぎず、気軽に誘ってください。この記事を読んでくれて、ちょっとだけ病気の特徴を配慮してくれる気持ちがうれしいですね。」と言います。

ティーペック×食道がんリングス共同企画「飲食店検索AIプロンプト」とは?

がんサバイバー向け飲食店探しプロンプト

ティーペックと患者会「食道がんリングス」は、2025年のジャパンキャンサーフォーラムで、がんサバイバーが安心して外食できるように、生成AIに使える「飲食店検索プロンプト」を共同開発・配布しました。


これは、ChatGPTなどの生成AIに入力するだけで、サバイバーの症状や希望条件に合った飲食店候補を提案してもらえる便利なプロンプトです。食道がんに限らず、すべてのがんサバイバーさんが使える内容にしています。


がんサバイバー向け飲食店探しプロンプト(生成AIプロンプト研究所 チャプロAI)
https://chapro.jp/prompt/266372

▶プロンプトで指定できる主な条件

  • がんの種類(例:食道がん)
  • 症状や制約(嚥下障害、ダンピング症状など)
  • 希望のエリア・料理ジャンル
  • トイレの有無・個室・バリアフリー
  • 少量・やわらかめメニューがあるか
  • ノンアルコール対応があるか

サバイバー自身はもちろん、家族や支援者にも役立つはずです。
誰でも使えるこのプロンプトは、思いやりの第一歩を手助けするツールです。

まとめ:食道がんサバイバーの「楽しい外食」の心遣いは、“やさしさのリサーチ力”

ジャパンキャンサーフォーラムで配布したカード
<ジャパンキャンサーフォーラムで配布したカード。AIを利用したことがない人にもわかりやすいように、裏面には使い方を載せました。>

がんサバイバーにとっての「外食」は、食べる楽しみを再び取り戻す機会であると同時に、身体と心に負担をかけないように気を配る時間でもあります。


今回、ティーペックと食道がんリングスが共同開発したAIプロンプトは、その思いやりをカタチにした一歩。誰でも使えるツールでありながら、サバイバーのリアルな声が詰まった貴重なナビゲーションツールです。


また、このプロンプトを使わなくても、「ちょっとした配慮」をすれば、相手にも気持ちが伝わり楽しい時間が過ごせます。あまり気負いをしなくても大丈夫です。


「食事に誘いたいけれど、どうすればいいかわからない」
そんなときは、ちょっとした検索+ちょっとした配慮から始めてみてください。

食道がんサバイバーズシェアリングス代表

髙木 健二郎

https://www.shokuganrings.com/
2012年3月:胸部食道がんステージⅢ(リンパ節2カ所転移)
お酒の飲めない典型的な赤くなる体質にもかかわらず、大量飲酒と喫煙を28年間継続。2クールの化学療法後に食道亜全摘胃管再建の手術。後に誤嚥性肺炎を乗り越え、左反回神経麻痺が残るが再発もなく2025年現在に至る。

取材・文:大井美深(ティーペック株式会社 広報担当)

※当記事は、2025年11月に作成されたものです。
※当記事内のインタビューは、2025年8月に行われたものです。
※当記事は個人の体験談に基づくものです。
※医師の診断や治療法については、各々の疾患・症状やその時の最新の治療法によって異なります。当記事がすべてのケースにおいて当てはまるわけではありません。

メッセージを送る

いただいたコメントはつながるティーペック事務局に送信されます。 サイトに公開はされません。 コメントには返信できませんのでご了承ください。

他にもこんな記事があります。

気になるワードで記事を探す

おすすめタグで探す